人口が多いだけでは強みではない

「13億人もいるので
シャツを一人一枚買えば13億枚も売れる」
13億×1という算式で、中国マーケットの魅力が
説かれたのは今から30年ほど前の日本でした。
13億人もいるので巨大マーケットであることに
間違いはありません。

中国の高度成長は「廉価の労働力のお蔭だ」
というのも今までの定説でした。

2001年WTOに加盟して
今年12月でちょうど15周年となります。
世界経済に融合して超高度成長を実現した背後には、
多くの若い労働力の存在でした。

しかし、いま中国は日本に負けないくらい
超高齢社会に突入しようとし、
若い労働適齢人口が急速に減少する
労働力不足に悩まされる時期に差し掛かっています。

 

統計によると、1990年に生まれた人口は
2620万人なのに対して1999年には、1150万人。
10年間にして新生児の人口は約56%も急減したのです。

急減のピークは1991年、前年の2620万人に対して
新生児はちょうど2000万人で、
一年で620万人の新生児が減少しました。

1991年と言えば、26年前になりますが、
その年に生まれた新生児は現在成人して就職、結婚、
出産と、不動産はじめ消費の主力となっています。
しかしその分620万人を皮切りに逓減していますので、
消費に対するマイナスの影響が
半端ではないことが考えられます。

しかし、それより、労働力の絶対的人数の減少と
一人当たり労働生産率の低下がより深刻です。

 

建設現場では、20代と40代社員の賃金の差は凡そ3倍。
3倍ほど高い賃金の40代社員は
熟練していることもあるのだが、
「職人精神と責任感では全く違う」と
20代社員の生産性の低下を建設会社の役員は指摘します。

20代と言えば、一人っ子政策の最中に生まれ、
両親の溺愛の中で育った世代。
苦労した経験はもちろんないし、ITの時代と共に成長し、
労働環境も親の世代とは全く違うものになります。

 

「4年前と比べて当社の人件費は3倍も跳ね上がった」と
10月米オハイオ州で6億米ドルを投じて
新規工場をオープンした、自動車用ガラス生産の
福耀ガラス(3606・香港上場)の曹徳旺会長は
米進出の理由の一つに人件費の高騰を上げ、
「アメリカの人件費は依然中国の2.57倍はあるが、
しかし、OA化と設備の改造で、
同じく4500トン/月ガラスの生産ラインで
中国では250人働いているのに対して、
アメリカでは180人で間に合う。
その他輸送とエネルギーコストを総合的に計算すると、
現地生産はコストが安くなる」と
米での生産性が中国よりも高いことを指摘します。

 

「絶対的人口よりも一人当たりの生産性を
考えなければならない」と11月の投資視察団でも
人口の話題になり、一人当たりの生産性が
最終的に国のGDPや企業の売上高と利益率を
左右するものだと、人口が多いだけでは
強みにならないと自分の考えを示しました。

 

 

 

<中国企業情報> 

 

四環医薬 最新情報レポート

 

当社発信「中国企業情報」では、

11月の視察団で訪問した「四環医薬」の

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