「専門的な質問に感心」

石薬集団を訪問した時のこと。同社の業績や見通し、業界のお話など一通り説明が行われた後質疑応答に入りました。

同社は、訪問受け入れのため、2時間半に及ぶスケジュールを事前に送ってくれました。機関投資家の受入れに熟知していることでしょうが、同社をより良く理解してもらうために、まず、ショールーム(同社薬品の展示と説明)の見学、そして研究棟(室)の案内、その後、会議室へ移動して説明会、最後に工場見学という用意周到のコースで迎えてくれたのです。

 

  石薬主力薬品NBP FDAの認証証書

日本を出発の前に訪問企業について参加者の皆様にお知らせしていますので、事前に皆様も下調べをし、日本で集められる同社に関する情報(会社案内やチャートなど)のペーパーを持参して説明会に臨んだのです。そして質疑応答の時間となると矢継ぎ早に質問が飛び出したのです。

例えば、こんな質問――Q:会計についてお聞きしたい。中国の薬品販売は非常に複雑と聞く。代理店方式や直販、卸などと様々とあるが、貴社社員は18000名、会計や監査関係者は何人くらいいるのか。一部の会社に会計監査に問題があるため、取引停止になったりもある。この問題をどう見るのか。

また例えば、こんな質問――Q:現在市場は低迷し、株価もあまりぱっとしない。一部の会社はA株への回帰(A株上場)を模索している。貴社はこのような計画はあるのか。

そして、次のような質問が出た時のこと。

Q:中国では医薬分業を進めていると聞く。貴社への影響は?
これに対して、公認会計士で、副社長の孫聚民氏は、「医薬品業界の政策に関して様々な言い方がある。医薬分業とはつまり薬局を(病院から)独立させることだが、最近はむしろ入札が主流となっている。しかしどのような改革も創薬にはいいことだと思う。薬価の競争の激しい目録の上位50位くらいには、当社の薬品は全く見当たらない(創薬は競争入札に参加しなくてもいい――訳者注)。したがって医薬分業も入札も当社には追い風になる。しかし、皆様の質問の専門性には驚いた。良く研究されているなと感心した。今は薬品株の低迷期で投資の良いタイミングだと思う」と回答したのです。

機関投資家と比べて私たちはいわゆる「素人投資家」です。素人投資家だからこそ、株主総会での非難囂々という「騒音」ではなく、同社株価のみならず、業界全体の中から同社の位置付け、将来性、政策の影響など掘り下げて質問することに投資家としての相応しい、真摯な姿勢に共鳴を呼んだのではないかと、視察団の企画者としても鼻高に思いました。

「京華投資視察団」は物見遊山ではなく、人生の一大事である投資について真剣に向き合うグループであることを中国・香港の上場企業に認められるようになったことは誇りに思う瞬間でした。

ちなみに、来月(8月)には、香港3泊4日の実務ツアーを企画しています。少人数で開催したく参加者を募集中です。関心のある方はお問い合わせください。

 

 

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