「A株は金融問題で、経済問題ではない」

アジア金融フォーラム(Asian Financial Forum)は今月18日から19日にかけて香港で開かれました。世界から100名に近い経済や金融専門家がゲストに呼ばれ、世界経済や金融市場について「診断」を行いました。ゲストの一人として米FRBのバーナンキ前議長も出席され、米ドルの動きや中国経済の先行きについてスピーチを行いました。

外部(第三者)の目から見る中国経済について同じく外部の投資家にとっても参考になるところが多く、氏の発言の要旨を纏めてみました。

まず、中国経済の構造転換についてバーナンキ氏は次のように述べています。

「世界経済が減速の中、かつて抜きん出ていた中国は以前より目を引くような成長は見られなかった。人口ボーナスが消えてなくなり、成長も鈍化している。中国経済は長期間にわたって低空飛行を続けるわけにはいかない。しかし長期にわたって10%以上を維持することもできない。中国経済の原動力は資源の再配置にある。これまで資源はリターンの高い製造業に偏重し、長期の高度成長を支えてきた。しかし、現在、経済のけん引役を製造業からサービス業へ転換することが求められる時、サービス業による伸び率は、資源を製造業に傾斜した時の伸び率には遥かに及ばない。経済成長を維持するには、このような構造転換が必要不可欠だが、中国も投資と輸出による経済成長は持続できないことに気付いている。つまり、消費をもって経済成長――社会福祉を増やし、消費することに抵抗をなくすという方向へ転換しなければならないことだ」

このように述べたバーナンキFRB前議長は、米ドルや人民元について、「米ドル指数高はほぼ上限に来ている。これ以上のドル高はもうないだろう。利上げ観測以来、ドルは十分に高くなっている。米ドルが今後引き続き高くなるかどうかはFRBが利上げを継続するかどうかではなく、利上げのスピードに引っかかっている。短期間の連続利上げはドル高を早めることになる。

人民元の国際化を加速度的に進めることはない。堅実なインフラ――完全なる監督管理システム、債券およびその他金融商品の開発、健全なマーケットが必要だ。人民元を自由兌換にするには、まず法的仕組みの構築が必要だ。監督管理政策の透明性が高くなれば市場もそれに対して自信を持つようになり、為替の大きな変動も抑えられるだろう」

中国の債務や信用について、バーナンキ氏は、「中国の債務の多くは国内信用(レバレッジ)であって米ドルによるものではない。これら国内債務による大量の資産流出をとりわけ心配することもない」として、中国のA株市場について氏は「世界市場の相関性は世界経済(の相関性)より高い。(A株市場の変動は)金融問題であって経済問題ではない。アジアには新たな金融危機に入る兆候は見えていない」とアジアは金融危機に陥ることのない見方を示しました。

 

 

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