なぜわがままな増資や減資を許すのか

「セント株」は大株主の利益を最優先し、また大株主のほぼ恣意で増資または減資が可能な制度で、一般株主の利益を侵害することが明確なことです。これを法整備で取り締まりはできないかと投資家から声が上がっています。

増資(有償・無償)や減資はなぜ簡単にできるのか、HKEXの李小加総裁は次のように解説しています。「(割当増資や減資などは)再融資制度の中間的ツール(Neutral tool)にすぎない。これらを認めているのは、上場会社が低コストで効率よく、簡単に融資しまたその企業の発展を支援することが初心で、これは内陸の多くの企業が香港での上場を選んでくれた主な原因の一つでもある」

「再融資制度は経営困難な企業のために融資問題を解決することができる反面、経営が失敗した場合、株主に大きな損を作ってしまう面もある。もちろん、悪人はこれら融資手段を不正に利用し一般株主の利益を侵害させることも散見される。キッチンの庖丁みたく、善人は料理用に使うが、悪人は凶器として使うこともある。しかしだからと言って庖丁を禁止するわけにはいかない。それなら善人でも料理することができなくなる。したがって、一般庶民の暮らしに影響しない範囲で凶器になる脅威を最低限に抑えることが監督機関が模索しようとするバランスそのものだ。最重要な責任は事後の強力な責任追及で、これをもって潜在的悪人を抑制することだ。

では、一般投資家はどうやってセント株に引っかからないようにすることができるのかという問いかけに対して李総裁は次のように述べています。「一般投資家は投資の最終的損益の責任者であれば、投資の安全性に対する一義的責任者でもある。投資しようとする株についてよく理解し、噂など信じようとせず、誘惑から離れることだ。マーケットのことは理解していないが、しかし投資しようとする場合、人だかりの多いところ、明るいところをどうぞ通ってください。悪人は暗いところ、人影の少ないところに身を隠しがちだ。資本市場もまた同様なのだ。

経験も乏しく、この道に明るくない一般投資家はみんなに名前を知られ、過去の業績も良く、情報開示も十分な、リスクの低い会社に投資して下さい。

香港の再融資システムは、融通の効く制度だが、大株主がこれを利用する場合、株主総会の授権と同意を得なければならない。再融資計画の公告と株主総会までは告知期間があるので、融資計画をよく研究し、株主総会で投票し、投資決定をしてもらいたい。要するに、セント株に引っかからないためにも、近道を避け、大通りをどうぞ通ってください。失敗してから警察を呼んできても、損失に対して警察が肩代わりをすることはできないからだ。

内陸の投資家が香港市場のルールを十分理解していないだろうということを踏まえて投資標的を選択の際、順次拡大していくという原則を取り入れている。例えば、上海香港ストックコネクトの際、時価総額の大きく流通性のよい株式から試験的に始め、それから深セン香港ストックコネクトの時には、時価総額の割と大きい中小企業の銘柄も取り入れ、同時に投資家資格というハードルを維持した。初めて海で泳ぐ人はまず浅瀬で練習し、それから沖に出て自由に泳いでください」

<了>

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