なぜインドに

WSJが昨日(9日)インド中央統計局(Central Statistics Office)の発表として取り上げたところによると、2015年10~12月期の国内総生産(GDP)は前期比で7.3%の成長で、同期の中国の6.8%を上回る世界一伸び率の高い国となったと言います。

『徐さんの中国株』の発信で様々なご質問を受けたりもします。例えば、「徐さんはそんなにたくさんの会社を訪問して、投資先をどう絞るのですか」とか、「インド、中国越えは無理。英語が日常的に使用可能は中国より上。数学やや上かな?しかし実用では当然中國、新時代人が凄い」などと皆様の観察も含めてメールを頂いたりしています。

投資視察団で訪問したり、下調べや会社のプレゼンテーションに出たりして年間30社以上を回っています。訪問したからと言ってその会社についてすべてわかるわけではないが、事務所にいてパソコンのキーを叩いているだけよりは遥かに多くの情報を仕入れたり多くの発見もあります。

かつて香港で訪問した天然ガス関係の会社はまったく中味が伴わないことが訪問しないとわからなかったと思います。その中身が伴わないことについていずれも市場でも暴露され、敬遠されることになるだろうが、投資してからではあまりにも遅いことになります。

そのようなことで、その会社について調べたり、経営者の経営理念を聞いたり、業界や同業他社と比較したりするのが視察の役割となります。

国同士の比較も同じことが言えます。前出の通り、インドは30年ほど前、インフラでもGDPでも中国と大差はなかったのですが、ここに来てGDPでは、5倍の差、一人当たり名目GDPでも中国の8280米ドルに対してインドは1688米ドル(IMF2015年)に留まっています。

インドでは、2014年5月、総選挙で人民党のモディ―が勝利し、首相に就任して以来、脱税を取締り、税制改革と外資導入を推進し、国有の持ち株を売却したり、国有企業の民営化など強力な改革を進めています。その結果、国内の生産性を大いに高めただけではなく、インフラ投資として2014年には日本からは330億米ドル、中国からは200億米ドル以上の海外からの投資を呼び込み、道路や電気、水道などの整備に当てられています。

一方、中国の高齢化と比較して、35歳以下の人口は総人口の65%を占め、豊富な労働人口を抱えることで、今後数十年に渡って安い労働力という優位性を保てる点で競争力を維持することもできると見込まれています。

しかしながら、インド政府発表のGDPの伸び率に対して「インドGDP伸び率「中国超え」算出法変更に疑問も」(2月10日日経電子版)との声も早速出ています。

そうしたインドの現状をこの目で確かめようと、3月の視察団でインドを訪問することになりました。日印のビジネス最前線で活躍中のインド人ビジネスマンの協力で、ムンバイ証券取引所や在印日系企業を視察する予定です。上海も一緒に訪問する予定でしたが、フライトの繋がりが悪く、上海訪問を今回断念し、旅程も一日短縮することができました。世界の工場からの脱皮を謀ろうとしている中国ですが、インドがそれを取って代わろうとしています。

工業化のプロセスは早い遅いという違いはあっても辿ってきた道にそう変わりはありません。インドがどのような方向に向かうのか、ムンバイ、デリー、アグラを見てみたい方はどうぞご一緒ください。こうした機会でもない限り、なかなか行かない国でしょうから、手配の関係で間もなく締切になります。

 

 

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