テンセントとアリババ逆転の意味とは

中国本土市場は引き続きお休みですが、香港市場は本日から第4四半期に入りました。 

休み前の9月30日のハンセン指数は289ポイントも上昇したものの、今年の最高値、4月27日に記録した28588.52Pから見て27%も下落した結果になりました。 

反転のチャンスも見られましたが、下降トレンドは2002年以来13年振りに長い5か月連続の下落となっています。中でも国有企業に特化した国有企業指数(H株指数)は34.8%の大暴落。「場外配資」の規制から始まった暴落はついに実体経済の低迷と繋がり、投資家心理を冷やした結果となりました。 

市場の混乱で世界経済に与える影響について、先月28日北京訪問中の欧州理事会のユルキ・カタイネン(Jyrki Katainen)副議長との会見で李克強首相は市場経済(を実施した)時間はまだ限られており、特に資本市場においては未熟または経験不足のこともあると、政府対策にも不備があることを示唆しました。 

しかし一方では、政府の対策について、2008年の米国同様、政府が積極的に信用取引を規制し、膨張したレバレッジを圧縮することにより自発的にリスクを抑え、更にこれを取り除く行動だと評価する声も出て、長い痛み(長期的低迷)よりも短い失速で経済を立て直そうとすることに理解を示す向きも多く見られました。 

9月に、ニューヨーク上場のアリババ(BABA)と香港上場のテンセントがそれぞれ四半期の決算を発表しました。Eコマースの最大手とSNS最大手の時価総額にこの9月に初めて逆転したのです。 

昨年9月、アリババがニューヨーク市場に華やかに上場し、時価総額は当時のテンセントより10%ほど高く、そして2ヶ月後の11月には時価総額にして2942億米㌦に達しテンセントのほぼ倍まで買われています。しかし、先月9日アリババの時価総額は1530米ドル(最高値より凡そ48%マイナス)、テンセントの時価総額は1569米ドルで、テンセントがアリババを抜いて時価総額にしてアジア最大のネット企業の座に就いたのです。 

中国株の暴落で米国上場の中国概念株も一斉に売られた背景もありますが、実体経済の低迷で、売上高の9割以上が電子商取引に依存するアリババのEコマースでの取引高が減少したことが業績に反映されたのです。 

一方のテンセントの売上高の内訳をみますと、ゲームは58%、付加価値サービスは24%、広告収入は18%とバランスがよく、またサービスに依存するところが明暗を分けた大きな一因であると言えます。 

ネット2雄の株価の推移からも中国経済の変遷を一部読み取ることができるのではないでしょうか。 

中国政府も投資と輸出依存から内需振興に経済けん引の舵を切りかえようとしています。11月には中国の代表的都市である北京と深センを訪問し上記推理(分析)か理にかなうものかどうか、そしてその分析が正しいものなら、株を買う場合、どの企業を狙えばいいか、企業訪問と消費の現場を見て判断してほしいと思います。視察団の締切りが迫っております。関心のある方はお問い合わせください。

 

 

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