ボーナスの業界図

中国人観光客による「爆買い」の場面は今も毎日のようにテレビに映されています。春節は土日も挟んで14日まで続き、今年は総計600万人が海外へ渡航しているとのことです。

一般的に、一人当たりGDPが3000米ドルを超えると、大衆消費に火が付き、海外旅行の需要も飛躍的に伸びると言われます。先進国の工業化のプロセスからもそのことが裏付けられています。2015年の中国の一人当り名目GDPは8000米ドルを超え一般国民も海外旅行に出かける時代です。

中国版リクナビ、「智聯招聘」はこの程、一般サラリーマンのボーナス事情の調査結果を発表しました。各業界のサラリーマン、1万600人に対して行った同調査は、ボーナス額の多少よりも、各業界のボーナスの推移に興味深いものがありました。

1月末に発表された同調査によると、調査対象の1万615名の内、3分の2の人はボーナスがゼロだとの回答で、ボーナス有という回答の平均額は2014年より3000元も少ない10767元(約19万3000円)だと言います。

ボーナス額の一位は証券、銀行、保険など金融業で、平均手取り額は1万7039元(約30万円)でしたが、23152元だった2位の時(2014年)より6113元も少ない結果となりました。

2014年の一位はエネルギーの旺盛な需要を反映してか、ボーナス額も大盤振る舞いでエネルギー業界の平均は全業界の一位でしたが、昨年前半の証券市場の大相場を反映して、金融とエネルギー業とは逆転したのです。

同じように2014年5位だったIT業界は3位に躍進し、2014年8位に転落した不動産業界は2015年4位に躍り出ています。

もう一つ大きく変動したのは自動車や加工、製造業で、2014年12485元で6位でしたが、2015年には9148元で11位に後退しました。

同じ業界でも、企業により大きな差があることも明らかにされています。米国上場の京東(JD)の社員の一人は、13回目の月給程度だと言うのに対してテンセントの社員は最高で10数か月分、少ない社員でも4ヶ月分相当のボーナスを手に入れたと証言しています。

2014年までは常に上位3位までをキープし、上場の「緑城集団」の販売担当女子社員が500万元(約9000万円)のボーナスを手に入れたことで話題にもなっていましたが、2014年のマクロコントロールで、不動産業のボーナスは8位まで後退しています。2015年には、低迷した不動産業のテコ入れで業績が回復し、ボーナス額も平均で4位まで復活しています。しかし、不動産業は「黄金の10年」という輝かしい時代を取り戻すことはもうないだろうと市場で見られます。

こうした企業の業績と密接に関連したボーナスの変化からも構造転換の現状が読み取れるのではないでしょうか。そのような変化に基づき、投資先を絞り、「中国企業情報」を発信して参ります。

 

 

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