ランキングで読み取る斜陽化産業

最も儲かる会社があれば最も損している会社も。「財富中国企業トップ500」の今年の赤字企業は53社を数えます。その内鉄鋼系は18社、石炭系は6社、セメント系は2社で、重厚長大産業を中心に赤字企業のほぼ半分を占めることがわかります。

しかし今年最も損している(赤字)会社は、上記重厚長大産業ではなく、意外とナスダック上場のB2C最大手の京東(JD)で、売上高は全500社中31位(昨年は45位)にランクインされ、IT企業の中ではアリババとテンセントを抑えて1812億元で1位の座を射止めていますが、しかし赤字は昨年の49億9000万元から今年の93億7800万元(87.9%増)まで拡大し、損する企業のトップに「躍進」しています。

巨額の赤字で、同社株価も最近急落していますが、B2CのEコマースは順調で業績を伸び、自社物流システム作りで赤字を増幅したものと分析されています。

京東に続く赤字の多い会社はA株上場の武漢鉄鋼。1955年に設立された国有企業で、過去の栄光と裏腹に昨年は75億1400万元の巨額の赤字を作り出して伝統産業の赤字企業のトップにランクインされました。

鉄鋼や石炭など中国を悩む生産過剰が現在も続いていることが改めて浮き彫りになっています。

伝統産業と新興産業との融合で躍進している企業に、A株上場の上海汽車集団が数えられます。2015年上海汽車とアリババは「インターネット自動車」に関する戦略的提携を結んだことは記憶に新しいことですが、この提携で双方は10億元を共同出資して「Internet CAR基金」を設立したのです。両社が開発を進めるInternet CARは期待が膨らむばかりで、その一翼を担う上海汽車はチャイナモバイルを抑えて総合ランキングで昨年よりワンランク躍進して5位にランクインされました。

またIT関連企業の躍進は言うまでもありません。BAT(百度、アリババ、テンセント)3社の内、テンセントはアリババと百度を抑えて初めて売上高1000億元を超え、順位も昨年の71位から57位まで躍進し、アリババも昨年の81位から62位に、百度は同124位から87位まで躍り出ています。

今年のトップ500社には新規にランクインされた会社は61社で、昨年の53社を上回り、優勝劣敗の企業淘汰と活力のある企業の成長をランキングでも読み取れるのではないでしょうか。             

 

 

 

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