不動産価格は、経済動向を見る参考指標として官民ともにこれを使われています。不良債権の多くは不動産ではないかとの先入観で、先月の視察団で訪ねた不良債権処理の中国信達で、「不良債権資産全体の中で、不動産の割合は4%に過ぎない」との説明を受けた時、一瞬耳を疑っていました。
というのも、マスコミも報道するし、中国の
東西南北を歩き回っても人影が見えない高層マンションが
林立する風景はあちこちに見られるからです。
大都市の不動産価格高騰で、史上最も厳しいと言われる抑制策が9月以降相次ぎ打ち出され、上海などでは、居住用でも頭金が35%、非居住用(投資やオフィス物件)などの場合、銀行融資を受けようとしたら、自己資金は70%と規定されるなど、不動産過熱の抑制に躍起になっています。
お蔭様で、売りたい人は売れない、買いたい人は買えない状況が現在も続いています。
抑制策のお蔭で、先月、北京、上海、深セン、広州の大都市の成約件数は平均19.5%減少(中原地産研究所)したと言います。
しかし、そうした中でも、上場不動産企業の多くが11月の売上高は前月比大幅増と言う決算を発表しています。
6日付「京華メルマガ」で不動産5社の11月の決算情報を取りまとめましたが、5社のうち、1社を除いて増収という
結果であることが明らかになっています。
不動産と言えば、万科企業になりますが、万科の王石会長は6日北京で開かれた創業者向けビジネスフォーラムで、次の10年まで売上高1兆元を目指すと同社の次の目標を明らかにしました。
万科は1984年に深センで設立され、企業再編と
上場準備のため、1988年に株式会社化したのです。当時の純資産は1300万元で、
16年後の会社設立20周年に当たる2004年には売上高が60倍以上の80億元に達し、20周年記念イベントで王会長は、次なる10年の目標を1000億元企業にすると発表し、周囲をハッと驚かせたのですが、
10年後の2014年には倍の2000億元を突破しました。
「年間平均40%の成長を維持してきたので、これを25%成長にしても、次なる10年で1兆元は達成できる」と王会長は胸を張っています。
米次期大統領に当選したトランプ氏のTrump Hotel CollectionのEric A. Danziger首席執行役員は10月香港で開かれたAsia Pacific’s Premier Hospitality Conferencesで、中国内陸の20~30の都市にTrump Hotelを建設する予定があることを明らかにしました。
トランプ氏当選直前の話だったのですが、果たして予定通り計画が実行されるのか、氏の世界戦略(対中政策)の一環でもあるし、中国経済の先行き見通しを見るバロメーターの一つでもありますので注目したいと思います。
こうして企業サイドで見ても不動産は成長けん引の主役の一つであることに今もあまり変わらないことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
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