不動産バブル 時間との勝負

日本と香港の株式市場が同日に休みとなるのは、お正月以外ほとんどありませんが、10月10日の今日、日本は体育の日、香港は重陽節(重陽の節句)の翌日に当るため、両市場ともお休みとなっています。

 

一方、中国内陸の国慶節に伴う連休は先週土曜日で終わり、株式市場も本日再開されました。上海総合指数は午前中約1%上昇しましたが、不動産セクターは3%ほど下がり、上場不動産企業の凡そ8割は値下がりに転じています。

 

急激に上昇している不動産に、連休中に政府から急ブレーキがかかったことの反動が不動産企業の株価に表れた形となっています。

経済紙のみならず一般紙や大手ポータルサイトのほとんどもこの一週間不動産新政の記事ばかり。その内容も「契約白紙撤回」、「違約金払ってもキャンセル」など不動産市場の冬を予感させるようなものばかりで、果たして不動産市場は冬眠を迎えるのでしょうか。

 

不動産の抑制新政は9月30日の北京の発表を皮切りに、南京、杭州など主要19の都市が連休中に相次ぎ発表されました。その多くは不動産購入の頭金を最低30%、最高80%を自己資金で賄うことを義務付ける内容です。

最新情報によると、新政の発表で、9月25~30日の6日間、北京の成約件数は1066ユニットでしたが、10月1~6日の同じ6日間の成約件数は凡そ3割の291ユニットまで急減。同じ期間の南京の成約件数は744ユニットに対して凡そ2割程度の138ユニットまで激減しています。

深センに至っては、新政の発表は10月1日の後でしたので、10月1日の成約は246ユニットだったのに対して、翌日になるとわずか12ユニットに落ちています。

 

内陸都市の成都や鄭州まで購入制限が実施されることは異例のことで、不動産バブルを本格的に抑えたいという当局の決意の表れだと言えることでしょう。

 

では、なぜ政府はここまで踏み切ったかと言いますと、不動産価格の急激な上昇を抑えるよりも急上昇のレバレッジ率が金融危機を引き起こされかねないという危機感を抱えているからではないでしょうか。

 

それは新政の頭金率の引上げからも読み取れます。これまでは1割や2割でも自己資金を用意できれば資格者が購入できましたが、資格者でも30%以上や非資格者(投資用など)は70%以上(深セン)を用意しなければならないと規定されています。

報道によると、頭金をやっと20万元用意できて仮契約をした人でも、新政で40万元まで用意しないと本契約ができなくなって、キャンセルした人が続出したと言います。

 

国民のレバレッジ率(GDPに占める借金の比率)は2005年の17.1%から2015年の39.5%と10年間で倍以上急増し、今年は更に44%まで増える見込みであることが中国銀行業協会の纏めで明らかになっています。

ちなみに同統計では、2015年までイギリスとアメリカは同80%以上、日本は同60%以上であると言いますので、まだまだ安全圏内にあるとの主張もありますが、しかし伸び率では他に類を見ないこともあって警戒すべきだと声が出ています。

 

不動産バブルはいつまで持続できるか、政府にとってむしろ時間との勝負となっています。

 

 

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