中国人アナリストが見た日本

中国証券大手、海通証券の銀行以外の金融研究チーム所属アナリストがこのほど日本を訪れ、業界視察と日本初訪問の感想を纏めたレポートを発表しました。

来日観光客が500万人を超える勢いで伸びていますが、まともな訪問日感想文は少なく、同アナリストのレポートは、業界視察の視点でまだ浅はかなところが多いのですが、面白いところもあるので、抜粋してご紹介します。

 

効率はいいが、黄昏感が

 

羽田空港を利用しての帰国で、チェックインから通関までわずか5分足らずで、搭乗ゲートで2時間以上も待たされる羽目になった。こんなに効率よくできているのには驚きを隠せなかった。搭乗までの2時間ほどで日本訪問の印象が一気に頭の中を蘇った。

 

日本の第一印象は綺麗で秩序あることだったが、すべてには「古い」というイメージがぬぐえなかった。地下鉄は四方八方に繋がるが車両も駅も年代もので、乗る人まで一様に黒かダークグレーに白のシャツ姿で同僚のチェックのシャツがここでは目立ちすぎ感さえあった。

 

中国も高齢化社会だが、日本の比ではない。タクシーの運転手はほぼ60歳のおじさんで、飲食店で働くおばちゃんは70歳に見えたにもかかわらず、小走りながら料理を運んでくれた。

証券会社の社員は朝5時に出社し夜10時まで働くと聞き、自分たちも帰国したらもっと仕事をしなきゃと一同反省したという。

 

中国レポート ページビューは5~6回にすぎず

 

日本の投資家には「中国売り論」が根強い。2015年の暴落まで日本の投資家の中国投資ブームがあったが、しかし暴落の後、崖から落ちるように一気に冷めた。証券会社の営業担当が顧客に中国という二文字を口にでもしたら追い返されるように面会拒絶になった。

 

証券会社のポータルサイトに掲載の中国投資レポートのページビューは5~6回程度で、その内3回は自社社員によるアクセスだという。コミッションの達成度合いは米国市場の100%に対して中国は10%程度。日本の投資家に理解できないのは、優良企業の株を買っても、市場全体が暴落する中でその株もなぜ免れられないのかということだという。

 

どこに活路を

 

業界人にしゃくし定規の人が多く、イノベーションの雰囲気すら感じられなく、どこに活路を見出そうとしているのだろうか。従来の証券会社の取次コミッションはいまだに0.8%、ファンド管理料は2~3%だというのには唖然した。反逆者がなぜ出ないのだろうか。

ネット証券は0.05%の手数料で多くの個人投資家を獲得したが、従来の証券会社は高い手数料率を維持したまま、資産管理型、付加サービス型へ転換を図ろうとしている。

 

従来の証券会社に居残った個人投資家は全体の二割程度でなおかつ70歳以上の顧客が多い。しかし、これらの顧客が100歳でも迎えた時には、伝統的証券会社はどうやって維持するのだろうか。

 

しかし、日本は銀行もすでに混合経営に変わり、将来中国も銀行で株が買えるようになったら、証券会社はどうやって特徴や長所を見せるのかが今後の課題であろう。

 

著者は日本の金融市場分析担当で、訪問までに提出した質問集などに対して日本の同業者は業界や企業の資料を用意して隈なく説明してくれた。その細心の気配りとプロフェッショナリズムに改めて脱帽したという。

 

 

<中国視察団のお知らせ>

 

上場企業を訪問する京華投資視察団は11月20日(日)~26日(土)にかけて開催。 大連、瀋陽、天津、北京の4都市を6泊7日で訪問。 上場企業のほか、租界地などゆかりの地を訪問の予定。 興味のある方はお問い合わせ ください

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