中国資本が動く

中国企業視察の旅に出かけている間、瀋陽に本社のある「輝山乳業」(6863)の株価が最大90%以上暴落したニュースが飛び込んできました。粉飾決算や役員による会社資金の流用、ネガティブレポートその他不祥事による(株価の)暴落はその他もたくさんあります。しかし1000円の株価が一日のうち、100円以下になるケースはレアだと言いたいところですが、昨年1月、「恒発洋参」(0911)も同じように一日のうち約90%暴落したことを当コラムでも取り上げていることを覚えていらっしゃいますでしょうか。その「恒発洋参」は現在社名を「前海健康」と改名して上場を維持しています。

「喉もと過ぎれば熱さを忘れる」という言葉をこの際しっかり肝に銘じたいところです。

視察に出かける前に取り上げているスマホアプリの「美図公司」(以下「美図」という)もその間ジェットコースター相場を経験した模様です。当社「中国企業情報」で1月に取り上げた際、8.8HKDだった株価が20日には、最高23.05HKD2ヶ月の間、実に約2.5倍まで急騰し、その後利益確定の売りで、前日比28%高から11%の下落へと、一日のうちの変動幅は約40%というまさにジェットコースターのようなものでした。

株式市場での短期間での過熱(急騰)は決していいことではありません。「美図」もまだ赤字の会社であることをコラムで紹介していますが、短期間の急騰は「遊資」(個人投資家の資金)によるものと思われます。

そして買われたきっかけの一つには、36日、証券取引所の発表でした。ハンセン指数構成銘柄の調整で、深セン証券取引所は、「深港通」の対象株を調整し、新鴻基公司(サンフンカイ/0086)など18銘柄を外すと同時に、「美図」やIGGなど23銘柄を新たに対象銘柄に指定したのです。内陸の投資家に親しみやすい同社で、証券取引所のお墨付きも得たという市場の判断が働き、内陸の「遊資」が一斉に入り、10HKD台だった株価が動き出したのです。

短期間の急騰で、利確も当然想定されます。その結果が同社その後の株価の推移に表れています。

美図は24日、上場後初の決算報告を発表しました。売上高は前年比112.8%増の157860万元で、調整後の純利益は同23.9%縮小したマイナス54000万元でした。

同社によると、スマホ本体は依然同社売上高の93%を占めるのに対して、インターネットサービスによる売上高は同40.1%増加したと言います。今年はEコマースの「美舗」アプリをオンライン化する予定で、インターネットサービスの売上高をさらに高めるとの目標を打ち出しています。同社株がジェットコースターを経験した直後の決算発表で、創業者兼会長の蔡氏は、保有している同社の株を(大株主の)売却禁止解禁後も売るつもりは全くないと公言しています。言葉通りに実行するのか、内外の投資家もこれを見ています。

しかし、美図やIGGなど内陸でよく知られる企業の株価の動きからも、内陸資金の香港市場参入は現実的なものになってきていることを感じます。それが現在の香港市場の(株価の)上昇を支えていると言っても過言ではないでしょう。

 

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