伝説の「上海合意」

中国国家統計局は、本日(15日)1月から3月までの第1四半期のGDP成長率を発表しました。それによると、第1四半期のGDP成長率は2015年第4四半期の6.8%より下振れしたもので、市場予想の6.6%をやや上回った6.7%であることが明らかになりました。

この発表に先立ち、国泰君安証券の名アナリストは、中国経済のファンダメンタルズが改善され、第1四半期のGDPは予想を上回り、いま買いのチャンスだというレポートを今週発表しました。

また国務院直属の国家発展と改革委員会の報道官が113の記者会見で、「中国の第1四半期の経済については、好スタートと言ってもいいと思う。なぜならこれには客観的で根拠と裏付けがあるものだから」と発言しています。

アナリストも報道官も中国経済が底をついたと判断したのには次のデータがあったからだと見られています。

○3月の製造業購買者担当指数(PMI)は好不況の境目となる50を上回って昨年8月以来7か月ぶりに50.2となったこと、

○ 3月の生産者物価指数(PPI)は前月より0.5%上昇し、2014年1月以来プラスになったこと。

○ 3月の消費者物価指数(CPI)は昨年同期比で2.3%上昇しインフレ水準は予想より低く、スタグフレーションは短期的には存在しないことを立証したこと。

○ 2月、3月の大型工業企業の利益総額は4.8%成長し、昨年6月以来9か月ぶり月間としてプラス成長になったこと。

○ 3月の輸出は18.7%と大幅に伸び、輸入の下げ幅も大きく縮小したこと。

上記指数を元にして、中国経済は底を突き、足踏みから脱却していくことを予想しています。

更に、国際通貨基金(IMF)は13日ワシントンで「国際金融安定性報告書」を発表し、2016年の中国のGDP成長率を従来予測の6.3%から6.5%に引上げることを明らかにしました。

同報告書は2016年の世界経済の伸び率を従来の3.4%から3.2%まで引下げ、アメリカの成長を従来の2.6%から2.4%へ、ユーロ圏の経済成長を1.7%から1.5%へ引下げたのに対して、唯一、中国経済の成長率を6.3%から6.5%へ引上げたのです。石油価格の安定、中国からの資本流出の減速及び各国中央銀行の金融緩和策のお蔭で世界の金融市場は復活しつつあるとしています。

そうした中で、WSJは12日、消息筋の話として適格海外機関投資家(QFII)は投資限度額を取得してから1年以内に限度額の使用は60~70%未満の場合、外為管理局が認可した限度額を縮小させる可能性があることを伝え、6月にでも限度額を整理、発表すると伝えています。

先月31日まで、認可されたQFIIは274社、認可された投資限度額は809億米㌦で、60~70%使用未満の機構に対して限度額を縮小する一方、希望の機構に対して限度額の制限を撤廃するとも伝えられています。

一部では、QFIIに対して強制的に株を買わせるのかという思惑が独り歩きし、13日上海総合指数は1.42%、ハンセン指数に至っては3.19%大幅に上昇しています。

市場では、6月まで短期決戦で臨むべきではないかと伝えられています。その理由としては① 中国経済は弱含みながら好転に向かいつつあること、② MSCIはA株を新興国市場指数に組み入れるかどうかを6月に決めること、③ FRBの4月の利上げが見送られ、次回の政策決定会合は6月に行われることなどが挙げられています。

更に都市伝説に近い言い伝えでは、9月のG20(杭州) まで人民元は切下げをせず、米ドルは利上げをしないと米中間ですでに「上海合意」に達したと言います。その間、国内のホットマネーも含めて株式市場にお金が流れてくるだろうと見られます。伝説の「上海合意」どう思いますか。

 

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「四環医薬」マネージャーとの昼食会質疑応答の内容を纏めました。詳細はこちらをご参照ください。

 

 

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