台風という流れに沿って

「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉があります。論理的思考で物事を考えようという例えによく使われています。中国のインターネット業界にこんな言葉があります。「台風の目に立てば、豚も空を飛ぶ」。インターネットの時代にITを活用した業種を選べば誰でも成功できるだろう、というニュアンスです。

最初に口にしたのは、キングソフトやシャオミー(小米)の創業者、雷軍です。ネット関連の企業をいくつも創業し、現在携帯電話業界にも参入するネット業界の風雲児です。

時代の流れや趨勢に沿って成長していくことの大切さを訴える言葉です。

では、現在の株式市場の趨勢とは何なんでしょうか。いうまでもなくこれから開通される「深港通」です。「深港通」が開通されると、どんな変化が起こりうるのでしょうか。中国市場を狙っている海外の資金(主として市場開放を迫る米国資金)が深セン市場に、また内陸に溜まっている国内の余裕資金が香港市場に流れてくることが当然起こります。人民元切下げの予想が強い中、リスクヘッジとしても海外市場に投資することが一番賢いやり方です。

では、香港市場に流れてくる資金はどういう銘柄を狙うのでしょうか。ここが本題です。

画像は4月23号当社発信「中国企業情報」で取り上げた「香港上海銀行(HSBC/0005)」のトップページです。深セン・香港ストックコネクト(深港通)の開通に備えて、年内の開通発表を予想して恩恵を受ける銘柄として同社を取り上げたのです。

同社を取り上げた理由について、さらに1.10%――ハンセン指数に占める割合2.8%――配当利回り3.70%――配当比率4.株式の買戻しについて、などを上げています。

香港上海銀行の買戻しは現在も続いています。31日ロンドン市場で、一株当たり平均5.6685ボンドで423万6500株の買い戻しを実施しています。31日の香港市場でも出来高トップで、買いから売りを差し引いた買い越し額は10億5500万HKDに達しています。

しかし、同社株は今年の4月、7年振り安値の45HKDまで売られていました。売られた原因について「企業情報」では、次のようなことを取り上げてお伝えしています。

「今週月曜日(4月18日)、香港で開かれた同社臨時株主総会で同社Stuart Gulliver総裁はその原因について、一つは海外市場で、中国売りの声が高くなると、中国と関係の深いHSBCがどこよりも先に空売りのターゲットになること、もう一つは、中東などのソブリンファンドはこれまで大量にアジアの株式に投資されていたが、原油価格の下落で、株式市場で現金化を迫られ、HSBCやスタンダードチャータード、AIAなどが売りの対象となった。中でもHSBCは投資規模も大きく、流動性も割合良いので、ソブリンファンドの売りが株価の下落に直接つながったとの見方を示した」と。

4月23日発信前日の同社の株価は51HKDで、本日は60HKD直前まで買われています。株を今日買って明日にでも上がらないと諦めてしまう方も散見されますが、「中国企業情報」は

長期投資を念頭に企業を発掘しています。

しかしながら、「深港通」の対象銘柄は小型株が多いことを考慮して短期売買も取り入れなければならないと考える昨今です。「深港通」という追い風に乗っかって、ぜひとも投資の成果を手に入れてほしいと考えます。

<お知らせ>「中国企業情報」下期の発信は9月3日からスタート。有料情報で別途お申し込みが必要です。関心のある方はお問い合わせください。

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