同じ銘柄でも 損得が(再掲)

「徐さんの中国株」と同時に「中国企業情報」を昨年の2月から前期と後期に分けて発信しています。この3月4日号で最終回を迎え、通算50回ほど発信した情報を振り返り、寸評を纏めています。

ちょうど、アメブロの「徐さんの中国株」の過去記事を公式サイトに移しているところで、今週たまたま一年前の記事(2016年2月3日付)を移そうと、目を引くタイトルだったのでこれを読み直したら、「企業情報」発信後の所感に一番近いことを一年前の記事ですでに触れていることに気付いています。

先だっての勉強会で「売るタイミング」について議論されましたが、買うタイミングもまたそれ以上に重要です。一年前の記事になりますが、再掲させてもらいました。ご参照ください。

 

「最近特にお問い合わせや相談が多いのは、押し目買い=ナンピンすべきかどうかということです。個別銘柄について相談に応じる立場にありませんが、市場が低迷し、投資した銘柄が値下がりしてナンピンを掛けるか手放すか迷う気持ちもわかります。

「ナンピン、サンピン、スカンピン」と言う格言もあります。押し目買いをしてもその後は更に下がることもありますし、ここは底だろうと思っても、2分の1まで下がった銘柄は更に10分の1まで下がったところから見てまだまだ高いレベルにあります。

ナンピンするかどうかは最終的に投資家が判断することですが、一つだけ確実に言えることは、同じ銘柄に投資しても利益を上げる人と損を出す人がいるということです。

同じ銘柄に投資したことは、その会社を「良い会社」=「優良銘柄」だと判断して投資されていると考えられますが、損得が出たということは「良い会社」だけではなく、「良いタイミング」で買ったかどうかが成敗の分かれ道だったのではないかと考えます。

その会社の株を買ったことはその会社(社長)に惚れたことですので、思惑に反して買った銘柄が値下がりした時点、その会社についてより深く掘り下げて研究(投資する前に研究すべきだが)するチャンスでもあると考えます。

上海市場の上海総合指数は1月に約25%、ハンセン指数は約12%下落し、ハンセン国有企業株価指数の平均PERは6倍程度まで下がっています。

香港市場ができて120年経ちますが、中国に返還された1997年以降、1998年のアジアの金融危機、2007年~2009年にかけてのサブプライムローンを起爆剤とした米国の金融危機、そして2011年のユーロ危機などなど大きな危機だけでも3回は経験しています。しかし、現在こうした外部環境の大きな危機がない中でも、平均PERは金融危機同然の株価水準となっています。

そのお蔭で、香港市場の配当利回りは世界市場から見ても高い水準となっています。当社では、配当利回り率9%以上を全50社、8%以上を10社ピックアップしていますが、国信証券は更に配当利回り率3%以上の会社から総纏めしています。その結果、香港全上場1668社の内、利回り率(括弧は全上場会社での割合)が6%以上の会社は191社、5%~6%は79社(7.74%)、4%~5%は98社(5.88%)、3%~4%118社(7%)と3%以上を総計すると、全上場会社の約30%を占める486社となることが分かったのです。

このような中で、株主や株価に常に気遣っている会社は株価が安い水準で自社株の買戻しを敢行しています。自社株の買戻し効果について改めて触れるまでもありませんが、流通株数の消却や一株当たり利益率を高めることができるほか、今期や来期の決算結果、更には会社の将来に自信を示す何よりの行動だと市場が判断する材料の一つであることを経営者は誰よりも良くわかっているからです。

1月から昨日までに買戻しを実施会社は80社、中には、日本人投資家になじみの深いIGG(0799)や中国燃気(0384)、北控水務(0371)、中国旺旺(0151)、石四薬集団(旧利君国際・2005)などの名前がずらりと並べられています。ナンピンを掛けるかどうか、自社株買いも参考材料の一つではないかと考えます。

中国では、来週から旧正月(春節)に入ります。週末からしばらく市場(香港市場は2月10日まで)はお休みとなります。そして市場再開に合わせて、2月20日から当社「中国企業情報」を発信します。ナンピンを掛けるかどうか、ぜひこうした情報を参考にして判断して頂きたいと思います。」<了>

 

 

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