実力と自信が

石家庄についてあまり好印象のなかった私ですが、石家庄についたのはちょうど大雨の後だったので、空気も清新だったし、降雨量の少ない同市にとってまさに慈雨だったので、地元ガイドも「皆様のお蔭だ」とおだててくれたのです。

石家庄に立ち寄ったのは、石薬集団のほか、石四薬集団(前「利君国際」)も訪問しようと計画したのです。2010年には、日帰りで訪問したこともあり、株主も多いようでその後どうなったか気になったのです。

 

 石薬集団 孫副総裁

 

同社はその後A株上場の科倫薬業に併合される話も進められましたが、事情で合併が破たん。株価も元の木阿弥になったのですが、今年に入ってから科倫薬業は市場で同社株を買い増しし、合併の再燃ではないかとも噂されていたのです。こういった時期に、当社の訪問打診について検討すると董事会秘書から一旦回答はあったものの、その後やはり現地では受入体制ができていないと言う理由で、当社から提示した三つの予定日ともに都合で断られたのです。

訪問ができなくても、打診のプロセスからも同社が今置かれている状況が大よそ推測できます。それは、1.合併再燃だが、まだ発表できる段階ではない。2.昨年の業績ダウンで投資家には真正面から向かえない。3.第1四半期の決算が近く、業績の回復がまだ先かということが考えられますが、いずれにしても受け入れる自信がないことは間違いありません。

それに対して、すでに訪問した四環医薬や石薬集団の対応は全く違うものでした。前者はできたての工場やラインを見せてくれましたが、後者は研究棟や実験室まで公開してくれたのです。

そして上海に行って上海勉強会の参加者数名と合流して蘇州に向かって訪問した「東瑞製薬」も社長はじめ、香港からわざわざ駆けつけてくれた投資家担当とともに堂々と説明してくれた後、お昼の時間でしたので、「社員食堂」でもと勧めてくれたのです。

当方の予定として昼前に訪問を終え、お昼を挟んで寒山寺でよく知られる蘇州の街でも観光した後、上海に戻ることを目論んだのですが、陳社長からぜひ工場でもと昼食の後、バスで20分ほど離れたところの工場まで担当スタッフを同伴させて案内してくれました。

こちらでも製剤やコーティングのラインは衛生や安全上の理由で関係者以外の立ち入り禁止の為、最終工程のパッキングラインを近くまで見せてくれました。

同社を2006年に考察団で訪問したことがあり、10年ぶりの訪問ですが、当時0.8香港ドルの株価はその後長い間、1香港ドル前後で徘徊し、我慢のできない投資家は他社に乗り換えたようですが、2006年当時で配当利回りは8%にも達したので、我慢に我慢の投資家もいて現在の株価は5倍の6香港ドルを超えるところまで成長したのです。

中国と香港、マカオの市場をしっかり押さえ、「今後もジェネリックを中心に開発をしていく」と陳社長。昨年の決算で、純利益は47.3%増という実績を残し、6月の初めに12セントの期末配当を実施したばかりです。

視察団の受入れ方という視点からでもその企業の実力と自信を伺えるようになり、視察団の価値を再認識させられる訪問でした。

 

 

 

<お知らせ>中国勉強会 は7月7日(木)都内にて開催。企業訪問の様子やイギリスのEU離脱の影響などについてお話しいたします。

詳細は当社HPにて。

 

 

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