施政方針演説から投資のチャンスを読む

前回のこのコラムで、李克強首相の政府活動報告(施政方針演説)で示された2017年度の目標についてポイントを抑えながら触れてみました。

凡そ2時間に及ぶ演説で膨大な情報が盛り込まれています。その内の一つに、企業減税です。全人代(通常国会)開催前の2月、常務委員会から法人税を現在の25%から22%へ減税する案を国務院(内閣)に提出しています。「政府活動報告」では、2016年、営業税を増値税に変更することにより、法人税が5700億元削減できたとしています。今年2017年度はさらに3500億元減税すると明言しています。法人税を減税してくれるので、経営者として当然嬉しいことですが、しかし、昨年の歳入は15兆9500億元だったので、減税額は歳入の端数にも満たない状況で、減税希望の声が依然大きいことに変わりはありません。

今から15年ほど前でしょうか、NHKの討論番組に出た邱永漢先生はゲストの大学教授と中国経済について議論し、「中国政府は世界一お金持ちの政府だ」と中国経済崩壊論を一蹴しました。

現に、減速論が出てくる度に、政府による大掛かりな投資が行われてきました。そうした中で、構造転換を模索し、すでにGDPに占める消費の割合が60%を超えるようになってきています。

では、今年2017年の投資のチャンスはどこにあるのでしょうか。

政府のインフラ投資についてすでに触れておりますが、公共投資に必要な建機の出荷台数は昨年比大幅増で、関連企業の株価も急騰しています。製造業と大いに関係する段ボール企業の業績も増収増益で、企業の業績回復が絵に描いた餅ではなく着実なものになっています。

今後の注目点としては、次のように考えます。

まず、国有企業改革と債務の株式化(DES/デット・エクイティ・スワップ)です。

国鉄の分社化と民営化で、日本は国有企業改革の先駆的存在で、中国での成功事例としては、このコラムで触れた製紙の晨鳴紙業があります。民営化後、純利益は3年連続倍増した実績を残しています。地方の国有企業でやりやすいところからスタートするところに、鄧小平の深セン特別区設立と同様の発想で、成功してから全国に拡大する点と一致しています。しかし、大型国有企業は100社以上もあり、どこから着手されるか注目が必要です。

次に消費関連です。

施政方針演説で、国民の不満として「住宅、教育、養老、食品医薬品の安全、所得格差」と反省の弁も盛り込まれています。

これらについて具体的政策も間もなく発表されるでしょうから、恩恵を受ける上場企業も続出してくることでしょう。

そして、新進産業です。

これについても、AIやIC、新素材、バイオ、5Gなどを推進産業として挙げられ、政策的支援が期待されます。

新進産業と並んで、DT(データテクノロジー)やクラウド、IoT、スマート製造なども盛り込まれ、政府支援で推進されることが予想されます。

さらに、環境関連についても、多くの時間を取っていることを見ると、今年も環境関連企業への支援と廃水、排気ガス、環境破壊業種の制限などが考えられます。

こうした政策を踏まえながら、4月以降の「徐さんの中国株」で具体的企業について追跡していきたいと考えます。中国株について関心のある方はどうぞご登録ください。4月から以降、「徐さんの中国株」コラムはご登録の方(会員)にのみ公開されます。

 

*「徐さんの中国株」にさっそく多くの方々にご登録頂きありがとうございます。
自動返信メールが届いている方はご登録成功です。
ご登録し、自動返信メールが届いていない方、また登録の方法がわからない方はお問い合わせください。

 

徐さんの中国株の最新記事