株式市場の乱高下 責任の所在は?

中国の株式市場は昨年未曽有の乱高下を経験しました。暴落のきっかけとなったのは、「場外配資」の取締だというのが定説のようですが、しかし暴騰・暴落の原因について未だ専門的調査チームによる結論はありません。

投資家の間では、昨年夏からの市場の暴落を「股災」(株式市場の災い)と言って人災天災はともかく、多くの投資家は損を抱えているか塩漬けのままになっています。市場の混乱の責任を取る形で、今年の2月、監督官庁のトップである証券監督管理委員会の肖剛主席(委員長)が交替され、後任に農業銀行トップの劉士余氏が就任されました。

3月海南島の三亜市でボオアフォーラムが開催され、アジアの多くの経済人が集まってそれぞれの分野の問題点について議論が交わされました。

ボオアフォーラムの分科会の一つに、「災いを招いたレバレッジ」があり、経済における信用の膨張と株式市場の混乱を招いた信用取引について議論が交わされました。

その中で、朱鎔基元首相の元秘書、経済ブレーンで、同じく証券委の副主席を歴任した李剣閣氏はこれまでにない視点で株式市場の混乱を総括し、耳目を一新してくれました。

「股災」について問われた李氏は、まず、システム的に研究を行って初めて因果関係を明らかにすることができるとして一言では語りつくせないとしながら「全人代などで調査チームを立上げ、全データを集める権限を与え、例えば、場外配資はどうやってできて、資金はどこからでどうやって株式市場に流入したのか調査し、これを発表することだ。調査チームは利害関係者を排除すべきで、特に監督官庁の関係者も証券会社の関係者も(チームから)排除すべきだ」としています。

原因究明を前提とする李氏は、官制媒体の煽りの責任も大きいと指摘します。「官制媒体は市場の熱狂を助長した。某媒体(注:人民日報)は上海指数の4000ポイントはまだ序の口だと吹聴した。官制相場だの、改革の相場だの、金融緩和で資金はじゃぶじゃぶにあると、煽りに煽った」と糾弾しました。

更に、監督官庁の証券委に矛先を向けて、「証券委の政策がゴロゴロ変わることも市場乱高下の一因だ」として、「恒生電子のシステムが直接証券会社や取引所のシステムに繋げることはインターネットプラスや金融革新として監督官庁の奨励さえ受けた。しかし市場が暴騰したら、さあ取り下げろと号令がかけられた。暴落の原因はここにもあると言わざるを得ない」と指摘しました。

このように述べた李剣閣氏は「ETFの先物取引を中止したことは間違っているとして、金融派生商品はヘッジの機能を持つものだが、昨年これを中止にした。つまり一方的に買うことができるが、売ることは出来なくなった。投資の世界では善意も悪意もなく、合法か非合法かしかない」と証券委は昨年空売り制度を一方的に中止したことを批判しました。

また、証券委による市場介入は審判が選手を連れてプレイするようなものだ。審判も選手も一緒に出場したら、どうしてフェアなプレイができるのかと証券委の指揮のものでの市場介入を批判しました。

昨年の上海市場の混乱に関する政府の公式見解がない中で、前役人による現官庁に対する批判は痛快そのものです。このような声が出ていること自体投資家の目もより一層厳しくなることを意味し、株式市場の健全な発展も期待できそうです。

 

 

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