極寒の中の暖かい話

「マイナス気温(の体験)は十何年ぶりだろうか」。瀋陽で東京新宿にも出店している「老辺餃子館」で夕食しながら参加者の方から感想が漏れていました。
「12月中旬以降のお天気だ」と寒流の襲来をガイドさんが教えてくれました。地元の人にも少し早い冬将軍の到来のようです。
 
大連はマイナス7℃、瀋陽はマイナス16℃。
 
大連では、吹雪の中、50キロくらい離れた旅順までバスを飛ばして旅順港と203高地を見学してきました。203高地は文字通り小高い丘の上なので、山頂の体感温度はマイナス20℃を優に超えているだろうと耳が痛いほどの「極寒」を久しぶりに体験しました。
 
しかし、体感温度よりも、大連、瀋陽所在の遼寧省の経済が正に「極寒」の真っ只中にあり、こちらの方がより深刻だなと肌で感じていました。
 
国家統計局の最新の統計によると、第3四半期のGDP伸び率を発表した31の省や自治区の中で、遼寧省は前期に続き、マイナス2.2%の成長で、全国の中で最下位であることが明らかになっています。
 
その原因を調べたところ、遼寧省の政界に今年激震があったことが判明しました。今年の9月、全人代(国会)常務委員会は遼寧省選出の代表(代議士)45名の資格中止を発表しました。続いて、遼寧省議会が452名の省代表(県議)が辞職したと発表。どちらも賄賂絡みで議員に当選したというので、資格中止か辞職という結果になったものだと言います。
 
資格の中止または辞職議員の名簿を調べると、同省内の有名企業の企業家の名前がずらりと並んでいることが公になっています。
これだけの不祥事はまさに前代未聞。企業のトップが相次ぎ議員辞職という事態になると、日常の企業経営どころではなくなることが容易に想像できてしまいます。
 
そうした中で、当社視察団は22日瀋陽でソフト開発とITソリューションの東軟集団――Neusoft(上海A株上場)を訪問しました。
米国留学から帰国した創業者が1991年に起業したソフト開発の会社で、現在はITソリューション、インテリジェントインターコネクション、プラットフォーム、クラウドとデータサービスの事業を展開しITの総合商社になる勢いで伸びています。
 
視察団の一行が同社に到着するや否や、「まず当社ショールームをご案内する」と、案内されたのは、古い図書館や喫茶店の雰囲気が漂う、いくつかに区切った細長い部屋で、そこには、日本の電器メーカーの製品やiPadなどの端末、クラシックカーの「レプリカ」などが置いてあったので、「ショールームはどこにあるの」と一瞬目を疑っていましたが、「これらの製品にすべて当社開発のソフトが組み込まれている」と、当方の疑問を察知したように、案内してくれた李峰キャピタルマネジメント担当、上級マネージャーが開口一番紹介してくれました。
 
クラシックカーの前では、「AI(人工知能)の開発は現在の最大の仕事。無人運転技術に今後かかわっていく」と同社の夢を語ってくれました。
極寒の地で、暖かい話を聞いて少しホッとしたような気がしました。
 
 

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