次のテンセントになる?

「美図公司」(1357)はアモイに本社のあるスマホのアプリを開発するVC企業。主要アプリに「美図秀秀(Meitu)」、「美顔相機(Beauty Cam)」、「美拍(Meipai)」など20数種。登録ユーザー数は世界で11億人(16年12月)、アクティブユーザーは4億5600万人に上ると言います。
「直感でこれを取り上げなければ」と前回触れていますが、実はマーケットリサーチもさっそく実行しました。市場調査と言っても簡単なことで、We Chat(テンセントのSNSアプリ)に登録中の知人やその人の知り合いまたは後輩などに「美図」を知っているか、知っているならそのアプリを使っているかどうかと聞いたのです。人数こそ限られていますが、100%に近い人は知っていてなおかつこれを使っていると言います。特に若者に人気があって、調査した20代女性のほぼ100%が使い勝手が良く、画像が簡単に加工できますのでこれを愛用していると答えています。

日本でも2000万人のユーザーを抱えているというので、寡聞の私でそのことを知らなかったのですが、確認したら、アプリの名前は「美図」ではなく、ローマ字つづりの「Beauty Plus」だと言います。さすがに「美図」では、うさん臭く若い人には不向きで、ローマ字なら受け入れられるだろうと言う同社広報戦略の一環でしょうか。
皆様も同社に関心し、投資を考えてみたいという思いならまずはリサーチとしてぜひ身辺の若い子に「Beauty Plus」について聞いてみてください。

当社も企業情報発信の際、基本的に最低一回以上の決算発表をした会社をターゲットにしていますが、「美図公司」は赤字のままで上場し、24日(本日)本決算発表の予定で、先だっての業績予告で2017年も赤字だろうという見通しを発表しています。

と言うのも、昨年の中間決算では、売上高の9割以上は実はスマホ(携帯電話)本体の販売によるもので、主業のアプリによる稼ぎは2016年の下半期で5倍増と言っても2790万元に留まっています。

同社に注目した理由の一つに、同社のアプリユーザー数は世界で10億人を超えたこと、そしてもう一つは創業者兼最高経営責任者に夢をかけてみたいということでした。
同社はVC企業の一つですが、創業者、蔡文勝は同時にエンジェル投資の名人で「中国エンジェル投資家の会」の発起人の一人。これまで100社以上のVC企業に投資し、その内米国上場の「58同城」や「暴風科技」、香港上場の「雲遊控股」、深セン創業板上場の「飛博」や「易名」などご自身がVC投資で財をなし、2008年創業し、2013年設立した「美図公司」の上場で、同社38.32%の株を持っている氏に更に120億元に及ぶ資産を作り、アモイ番付の一位になるだろうと見られます。同社には中国資本の機関投資家も投資していることで知られています。
しかし、上場わずか3ヶ月で株価が倍増し、多くの基幹投資家がまだ売買禁止期間にあるため、個人投資家による売り買いが繰り返されるだろうと思われます。

当社「中国企業情報」では、前後2回同社を取り上げていますが、同社ビジネスモデルについて詳しく知りたい方は「中国企業情報」をご参照ください。
なお、中国企業情報は4月から「徐さんの中国株」として発信して参ります。
「徐さんの中国株」は4月から非公開になります。引き続き閲覧するのに登録が必要となります。ご了承ください。

IPOセレモニーで蔡会長は、テンセントに準え、「テンセントは上場当時、3.7HKDだったが、現在は1000HKD(分割前換算)を超えた。美図も100人ほどの会社から現在1000人の会社まで成長した。世界でiOSオペレーションシステム上位8位に入る会社になり、更に大きくなってから上場しては当社の高度成長の価値を享受することができなくなってしまう」とIPOのタイミングについてこのように説明しました。果たしてそうなるのか引き続きフォローして参ります。

 

 

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