気が付けば

中国株にはA株、B株、そして香港を含めたH株があります。開設当初、A株は国内投資家、B株は海外投資家向けだったのですが、今では、条件付きでお互い投資できるようになりました。

そのA株、B株、H株市場に同時上場の会社が全上場会社の中でもただの1社だけがあります。製紙の晨鳴紙業(1812)です。

2008年10月の「投資考察団」に参加された方なら記憶にあると思いますが、山東省の寿光市にあり、当時市内に唯一の五つ星と紹介された端から端まで数百メートルもあるマンモスホテルがあって考察団全員そのホテルに泊まったのです。同社がオーナーのホテルです。

その晨鳴紙業は今月17日の董事会(役員会)で、2016年12月31日までの本決算を議決し、香港証券取引所の公式サイトで結果を発表しました。

それによると、2016年12月までの売上高は前年同期比13.17%増の229億700万元、純利益は前年の10億2100万元から102.11%増の20億6400万元まで倍増し、一株当たり利益(EPS)は0.99元、現金配当として普通株一株当たり0.6元、優先株は0.308元を実施すると言う内容でした。

同社株式も景気後退と共に長期低迷しましたが、国有企業改革、とりわけ供給者側改革が打ち出されてから、業績が復活し、2014年の純利益は5億500万元、2015年は10億2000万元、そして2016年は20億6400万元と3年連続倍増し、株価も2014年初めの2HKD台から4倍以上上昇しています。

同社はもともと地方政府が大株主の国有企業でしたが、混合制(国有、民間持ち合い)改革のお蔭で、2015年10月、国有の持ち株が45.21%に後退し、同社役員と中堅社員が持ち株のホールディングス傘下会社2社が54.79%まで保有するようになり、経営のモチベーションが大きく変わったことで、業績が一変したのです。

時としても、供給者側改革が行われ、生産過剰業種が減産閉鎖に追い込まれる中、構造転換を敢行したことも同社には渡りに船でした。

さらに、マクロ経済の好転も追い風となり、輸出入が増加に転じたことで、製造業の回復が需要増に繋がり、それが純利益の倍増と言う結果に繋がったのです。

同社民営化に伴い、株価対策もしっかりと講じられ、2015年1月から2016年1月にかけて市場でH株を発行済み株数の5%超まで買戻しを実施しました。同社買戻しの平均株価は5.32HKDで、本日の株価で換算すると、すでに50%以上利益を出したことになります。

こうして株価対策で資金に余力を出した企業は、買戻しの株式をストックオプションに使われたり、消却に回されたりして更に成長に繋がることも期待されます。

このように気が付けば増収増益になった企業はほかにも複数あります。同じ業界の「玖龍紙業」(2689)もその内の一社です。

 

 

 

 

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