法律と倫理の狭間で

中国株は今週ブラックマンデーでスタートを迎えました。
上海総合指数は月曜日(12日)6月13日以来最大の
マイナス2.5%で引け、深セン創業版に至っては
マイナス5.5%と「サーキットブレーカー制度」が
発動された1月7日以来の暴落です。

 

たまたま12月12日はアリババのECサイト、
TAOBAOのバーゲンセールの日で、投資家の間では、
A株市場バーゲンセールの日だと言って
自嘲気味で市場の乱高下を揶揄しています。

 

暴落の外部環境として、トランプ相場が依然強く、
ダウ平均は史上最高値の20000ポイントまで迫り、
また今週行われるFRBの利上げに関する政策決定で、
資金の流出が懸念材料の一つであることに
今も変わりはありません。

しかし直接のきっかけは
先週の証券委劉委員長の「保険資金」の規制発言で、
金曜日、恒大地産傘下の保険会社に対して
上場の万科の株式をこれ以上買ってはならないと
「指導」が出されたことでした。

 

「万科企業」の経営権を巡る争奪戦に関して
これまで「徐さんのブログ」でも取り上げています。
万科に続き、エアコン最大手の格力電器にも、
万科の時と同じく宝能グループ傘下の保険会社が
大挙して買い増しをしています。
万科の争奪戦が続いている間に、今度恒大地産傘下の
保険ほか関連企業が万科の発行済み株式16%以上
買い増しし、大株主2位の座を手に収めています。

これら保険資金は短期売買の兆候も出ている為、
証券委からこれ以上の買いには「NO」
という処分が出ています。

 

昨年中国株大暴落の際、「希望の星」として
保険金の市場参入が大いに期待されました。
そこで多額の保険金が市場に入り、
市場買支えの主力となっていましたが、
ここに来て風向きが一転したのです。

 

万科の事例で見てみると、株主の一位に躍進した
宝能グループは、創業者王石董事長をはじめ、
現経営陣を一掃すると発言したと報じられています。

 

宝能グループ傘下の前海人寿が深センA株の
「南方ガラス」(000012)を子会社化しようと
買い増しを進めている間、南方ガラスの経営陣が
一斉に辞職したことが明らかになっています。

 

「物言う株主」の時代に入った中国市場ですが、
規制すると市場が委縮するし、
緩和するとハゲタカに変身してしまうという現実。

2016年だけで、すでに58社の上場企業が
保険資金に5%以上の株式を
買い占められていることが判明されています。

 

保険資金は機関投資家として
長期投資するなら大歓迎ですが、
保険会社は「投資銀行でもなければ、
証券会社でもない。保険資金は資本市場の
戦略的パートナーになるべきで、
市場の土石流になってはならない」。
中国保険監督管理委員会の項委員長は、
上記事態受けて、13日、保険会社の経営陣を
北京まで招集してこのように訓示しました。

 

昨年7月、保険委は単一の伝統的大型企業や
金融株への投資は、前期末までの保有資産の
5%から10%まで、株式投資には同保有資産の
30%から40%まで引き上げましたが、
これが近く元に戻されるだろうと憶測されます。

 

保険資金の中で問題視されるのは、
レバレッジを利用した短期融資。
短期的利益追求のため、どうしても
短期的売買を繰り返すことになります。
市場や企業経営への影響を考えた証券委、
保険委の措置ですが、利益追求は資金の元来の目的。
そうした資金も法律と企業倫理の狭間で
常に彷徨っています。

 

 

 

 

<中国企業情報> 

 

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