消費関連、医薬株に注目を

中国の株式市場は今月初めの「権威筋」の談話以降、風向きが少し変わりました。期待されていた全人代張徳江議長の香港訪問に伴う深せん・香港直接取引の「直通車」の発表もなく、機関投資家やファンドの投資はしばらく控える空気が濃厚となっています。「権威筋」の判断では、「中国経済はU字でもなく、V字でもない、L字型回復にある」ことだが、実体経済はL字の縦の線にあるのか、それとも横の線にあるのかについても議論が分かれていますが、共通点としては1年や2年くらいではL字型から脱出(V字型に)することが望めないことです。

そうした中で、鳳凰財経(Finance Ifeng)は「どんな商売でも儲からない段階に入ったのか」というレポートを発表しました。その中で、「民間投資の失速」を問題として取り上げ、第1四半期の民間による投資が大幅減にもかかわらず、全国の固定資産投資が減少するどころか、大幅に増加したことです。つまり国有企業や地方政府による投資が急増し、民間投資減少の穴埋めをしたということですが、その国有企業と地方政府の投資も4月に入ってから人民銀の通貨政策の転向(緩和から緊縮へ)で伸び悩んだと言います。

民間固定資産投資減少の理由について、同レポートは次のことを指摘します。
1. リセッションで経営リスクが増大し、投資する勇気がないこと、
2. 利益が減少し、投資利回りが低下して投資する意欲がないこと、
3. 独占(業界)が多く、参入のハードルが高く(投資)しようにもできないこと、
4. 融資ルートが狭まれ、投資能力がないこと、
5. 行政の関与で資金が国有企業に流れていること、上記五つの原因により、民間投資が控えていると指摘するとともに、民間資本は利益を追求するもので、その民間資本でさえ投資を控えるようになったら、お金儲けのチャンスはないと宣言することと同じことだと結論付けています。

株式市場の株価の値動きからも経済実体の現状をよく把握したレポートだと感じられます。とは言っても、経済は動いているもので、いつどんな時でも必要とされる業種は必ずあるものです。先日、成都に進出した日系百貨店に在籍したH氏が、飲食チェーンを展開する日本の本社からヘッドハンティングされ、中国本部の執行役員に任されましたので、当社に挨拶に来られました。

台北、シンガポール、成都での海外勤務経験があり、中国経済について、LOUIS VUITTONやGUCCIなど売上高がダウンしているかもしれないが、飲食ではまったくそのような気配はないと、北京、天津を中心に150店舗を、1,2年を目途に展開する計画を語ってくれました。6月視察団の訪問企業も決まりました。医薬品企業を中心に訪ねるのも、景気や不景気と関係なく飲食と同様、いつ何時でも必要とされている、いわゆるディフェンシブ銘柄(業種)だからです。民生と密接に関係している業種だけあって医療改革の対象業種で政策(薬価抑制)に左右されることもありますが、一時的抑揚はあっても長期的には成長産業だと見ています。

 

 

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