証券委 新主席の下 監視強化

上海A株上場の大智慧(601519)は、先月29日夜、公告を発表し、中国証券監督管理委員会(CSRC)の「上場廃止制度の改革改善と厳格な実施に関する若干の意見」と上海証券取引所の「株式上場規則」の関係規定に基づき、大智慧の上場廃止の可能性を排除できないことを明らかにしました。

同社は先月26日、CSRCから「行政処分決定通知書」が送りつけられ、同社が証券法違反の疑いで調査を行い、その結果関係者に対して処罰の決定をしたと言います。その二日前、同社は董事長(会長)で総経理(社長)の張長虹氏から董事会宛ての辞職願が届き、役員を含む一切の役職を辞任するという内容の公告を発表したばかりでした。

同社公告によると、処罰の内容は、ディスクロージャーでの違法行為、利益の水増しなど4件の違法行為に対して、同社に対して罰金60万元、関係者14名に対して3万元から30万元の罰金処分、張長虹など責任者5名に対して業界での再就職5年間禁止処分を科すというものでした。

60万元の罰金はCSRCの権限内でできる(罰金の)最高額となります。また業界での再就職5年間禁止もこれまであまり発動されたことのない法律条項で、これも適用したことでCSRCは本格的に証券業界での違反や違法行為の摘発に乗り出したものだと市場で見られています。

7月22日の定例記者会見で、同社の違法行為について、CSRCの報道官は、2013年同社は元本保証というセールストークで新株の抽選に当たることや理財などの名義で営業し、また関係企業との間で協議契約などで2013年度の利益を1億2000万元水増ししたという調査結果を公表しました。

水増しされた2013年の本決算が発表されてから同社株は6元台から最高で32元台まで買われ、塩漬けされたり、損を抱えたりしている投資家から株主訴訟も起こされ、最高で5億元の損害賠償も支払わなければならないと担当弁護士は指摘します。

大智慧はネット金融情報サービスの会社で、日本でもDZH(大智慧の頭文字)という名前で情報を発信したり、香港の株式情報サイトAASTOCKSを傘下に持ったりなどして利用者の多い情報サイトです。

CSRCは今年2月前主席が証券市場の混乱の責任を取った形の辞任に伴い、劉士余前農業銀行董事長を新主席に迎え入れました。新主席就任半年ほどでインサイダー取引の取り締まりや情報開示の義務付け、鞍替え上場の禁止などこれまで「投資家教育」に熱心だったCSRCが上場企業に対する監視強化に舵を切るようになったと市場で受け止めています。

 

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