買収合戦の渦中にある神州控股

PCや部品の代理店からソフト開発に経営方針を転換した神州控股(0861)。昨年代理店業務を売却し、スマートシティやシステムソリューションサービスなどソフト開発に専念する会社に変身しています。

方向転換した理由について聞かれた同社戦略分析部の孫総経理は、PCなどハードの販売は売上高こそ700億元に達したが、純利益は1%に過ぎないことを認め、近年、Eコマースの台頭でオフラインでの売上も大打撃を受けていると、代理店業務を切り離した理由について説明してくれました。

スマートシティは考え方として素晴らしいものですが、運用の際かなり難しく、日本でも難航していると参加者の質問に対して、孫総経理は、同社はキャノンや富士通、東芝、沖電気などとも業務提携した経験があることを前置きにしながら、例として、市政府(市役所)の公共サービス(交通管制、税金や水道、ガスなど公共料金の納付、身分証明書や保険証の発行)をインターネットでできるようにオンライン化することを挙げ、オンライン化したシステムの運用やメンテナンスなどサービス料として政府からもらうことで売上げを立てていると語り、昨年までサービスを開始した42の都市を年内に70の都市まで広げ、中国の中規模以上の300の都市まで順次拡大していく計画であることを明らかにしてくれました。

さらに政府からは固定したサービス料をもらうのに対して、今後テンセントやアリババなど大手IT企業とも提携し、同社プラットホームを大手ITの企業の公式サイトに掲載し、より多くの人に知ってもらうための活動もしていきたいと語りました。また農業部門の運用に関しては、土地所有者の確認、農産物取引センターの設立、物流管理システムの実例を挙げながら説明してくれました。

同社訪問の直前、同社株式について「買収合戦」が行われていることが明らかになりました。深センA株上場の広電運通(002152)は3月に同社発行済み株を10%以上買い増しし、5月にはさらに12%弱まで買い上げをし、同社筆頭株主になったことを発表しました。

これに対して、創業者の郭為と関係企業が自社株を守ろうと10億元の現金を用意して自社株を買い増しする計画があることを公告し、買収合戦の様相を呈しました。これについて、参加者からは、「買収側」の広電運通の意図や神州控股の対応及び今後の展望について問いただしたところ、孫総経理は、買収を仕掛けた広電運通側とコミュニケーションを続けていることを明らかにし、同社とは現在業務関係がないこと、神州控股を買収する意図がないこと、董事会(取締役会)に役員を送り込む要求が出されていないことを挙げ、創業者郭為と関係者合わせて今後自社株を最大30%まで買い増ししていく計画があることを明らかにしています。

しかしこの買収合戦は完全に同社が描いているロードマップに沿って進むのかまだまだ疑問が残るところです。

 

 

徐さんの中国株の最新記事