退く道はない

株式市場を立て直そうと、政府は強力な市場介入をする一方、インサイダー取引の取り締まりを強化し、証券委はじめ、大手証券会社から私募ファンドの経営者まで強制連行がここのところ相次いでいます。不正で蓄財した分、最終的に吐き出すことは古今の東西を問わず、不正で財を成してはならないことが示されています。

かつての「村上ファンド」はそうであったように、中国私募ファンドのBOSSとも言われる上海澤熙投資管理有限公司の総経理が昨日、インサイダー取引の疑いで警察に連行されたと新華社通信は昨日(1日)深夜配信されました。

こうした市場の不正を摘発する一方、最近の話題の一つに「国有企業」の改革が挙げられます。「国有企業改革概念株」としても、合併や混合所有制など改革案が発表される度に、A株もH株もその関連株が買われています。

「国有企業」の改革はなぜ重要なのか、それは「国有企業はTrouble shooterではなくTrouble maker」だからです。レーガン元米大統領は1981年1月、大統領就任演説で「政府は解決をもたらすものではなく,むしろ政府こそ問題となっている」と述べた件は、役所のみならず、国有企業の非効率も端的に指摘したものとして識者で受け止めています。

投資家ウォーレン・バフェットは2002~2003年にかけて中国石油(ペトロチャイナ)の株を買って2007年にこれをすべて売却し、40億米ドルの利益を手にした話は中国株投資家の間でも有名ですが、その中国石油は独占による商売の国有企業で、利益の上げ方に集中砲火を浴びせられていますが、未だ改善される気配は見られません。

こうした国有企業を改革しようと、9月13日国務院による「国有企業改革に関する意見」が発表されましたが、市場の期待に反して翌日の市場は下落しています。昨年国有企業改革のテストとして、中国石化(サイノペック)傘下の子会社の株式30%を25社の法人に開放(譲渡)すると発表されました。所謂官民「混合所有制」にする案でしたが、30%の株式を25社で案分すると、最大の持ち株も2.8%に留まるということで、経営参加には遥かに及ばない割合で、失望感が噴出しています。

そこで打ち出されたのは国有企業への資本参加ではなく、国有企業から民間企業への資本参加という「逆発想」のものです。国有企業の「独占」で占めている経営資源(マーケットや資金)の一部を民間企業に注入しようという考え方です。

政府が打ち出された「一帯一路」やAIIBなどは国内の生産過剰を周辺の必要な国に持っていこうというのが思惑ですが、生産過剰の企業を見てみますと、例外なくすべてが国有企業であることにその非効率さが改めて浮き彫りになっています。

TPP加入の条件に通貨の自由兌換と企業の自由競争(国有企業の民営化)が盛り込まれています。通貨の自由兌換について先週の国務院常務会議で、上海自由貿易試験区での自由兌換加速が決議され、またIMFへのSDR加入もほぼ現実化されています。民間から国有への資本参加から、国有から民間への資本参加に切り替えようとしています。

TPPへの加入をまだ表明していませんが、市場の開放は世界経済の流れです。国有企業の改革はもはや退く道はありません。国有から民間へ資本参加する場合、個人投資家もまた同じく投資のチャンスに恵まれます。

 

 

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退く道はない」への1件のフィードバック

  1. SECRET: 0PASS:今日は勝手にこちらのブログに舞い込んでしまいました。だに頼まれるわけもなく、勝手にブログを読ませていただきました。最近前向きな記事が書けるようになりました。良かったら見て下さい。

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