通貨の弱い国への投資は避けるべき

3月の投資視察団は3年振りに再度スリランカを訪問することになりました。スリランカの経済は内戦終結の2009年以降、投資拡大と観光客の急増で急速に立て直され、国内総生産(GDP)は2012年まで8%以上の成長を達成し、株価も4倍ほど上昇しました。2013年にはGDPが3%台まで落ち込みましたが、昨年は5%まで回復しています。島国ですが、その戦略的ロケーションで日本、中国、インドからの投資は衰える気配が見られません。その現状を見るのが企画の目的の一つでもあります。

先日の新春勉強会で久しぶりに参加される会員の方がいらして「現在主に東南アジアの某国に投資している」とここ数年中国株から敬遠されていることを仰いました。

たまたまですが、勉強会は12日の開催で、その前日、トルコの通貨、リラ対米ドル為替の切下げが発表されました。しかも10%以上ということで対米ドルもまた対円も史上最安値になったということです。

3年ほど前に、ある会合に出席した際、某証券会社の若い営業の子と名刺交換しましたが、その後営業の電話が入り、ぜひ面談したいというので、新宿の当事務所に来たことがあります。内容はトルコ通貨へ投資しませんかというお誘いでした。当時のリラの金利は12%あるというので、どこよりも利回りはいいよとか零点数パーセント(当時)の日本より何十倍だとか営業トークを並べられましたが、その途中で、10年ほど前、ベトナムの金利は17%もあって、それでも投資はしていないよと途中で打ち切って帰ってもらったことがあります。

中国の次はベトナムだと、高度成長が期待されて2005か2006年ごろはベトナムの株価も好調でした。ベトナムにはこれまで5,6回視察団で訪問しています。株価が大きく上昇したことも当然ありますが、しかし株価の上昇以上に通貨の切下げが50%を優に超えてしまうこともあります。せっかく株価が上昇したにもかかわらず、ドルや円換算すると、価値が半分に落ちてしまうのでは、株価上昇の意味もなくなってしまいます。

そのような意味で、ベトナムドンの17%もトルコリラの12%も高い金利には一切興味を示さなかったことで、通貨切下げによるロスも免れることができたのです。先進国のこれまでの歩みを見ましても経済が好調の時には一様にインフレが伴い、金利も上昇しますが、好調の背後には実体経済がどうなっているのか見極めることが重要です。

人民元も切り下げられているのではないかという反論の声も聞かれそうですが、資本流出の懸念が一番大きな要因だと考えられます。

2016年12月こそ米ドルベースの輸出入ともに前年比マイナスの統計が発表されていますが、通年の貿易黒字が依然続いております。貿易黒字が続いている限り、人民元の大幅な切り下げ要因が見当たりません。

そのような意味で、政情不安や付加価値の低い一次産品の輸出しかない国への投資は避けるべきだと考えます。

 

<お知らせ>

スリランカ・上海視察団の日程表をHPにアップしました。

3月19日(日)から24日(金)までの5泊6日の旅で、ご都合の方はぜひご参加ください。

 

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