遅きに失するが、SFCは動いた

深セン、香港ストックコネクト(深港通)が
12月5日に開通されました。
上海、香港直通車開通してから
ちょうど2年経ったところです。

 

マーケットの規模が違うので単純比較にはならないが、
北上(香港から上海A株への投資)資金は
上海市場の平均0.5~0.9%で、
南下(内陸から香港H株への投資)資金は
香港市場の平均3~5%を占めることが
統計で明らかになっています。

深港通の開通で、香港市場への投資は
もう少し増えるだろうと期待されています。

しかし、内陸の資産規模から見てみると、
市場の3~5%は雀の涙くらいで、
さらなる拡大が期待されます。

香港市場への資金の流入にまだ限定的だという
現状の背後には、口座開設の要件に、
残高50万元などハードルが依然高いなどの要因のほか、
香港独特な「仙股(セント株)」の存在が
投資意欲をそがれていることも見逃してはなりません。

 

セント株についてこれまでも
数回取り上げたことがあります。
本業を疎かにしてファイナンステクニックで
株だけを弄る会社の株のことを言います。

 

そこで、香港証券先物取引監視委員会(SFC)は
香港証券取引所と共に、先週金曜日(9日)、
共同で声明を発表し、上場企業の増資や減資、
新株発行に際して、これらに応じられない
少数株主の権益が侵害されていることを
厳重に監視、調査し、必要に応じて
上場規則の修正も辞さないとしています。

 

セント株は香港の地場企業に多く製造業など本土移転で、
以前製造や貿易などを営んでいた実態のある企業が
衰退し、形骸化しているケースも少なくありません。
上場維持のため、株価が1香港ドルを割り切る場合、
10株を1株に縮小し、株価がそのまま10倍に
跳ね上がります。株価はその内また下がりますので、
下がった時点で、今度は時価に対して
更に割引をして増資を行います。
増資に応じない株主の持ち株がその分稀釈されます。

 

逆のケースの場合、1株を10株に分割し、
株価を下げて買いやすくします。
多くの投資家が下がった時点でこれに飛びつき、
原始株(IPO以前の株価)を持つ大株主が
売却して売り逃げてしまいます。

こうした増資または減資と言う行為は
株主総会の承認を必要とされないから、
大株主からなる董事会(役員会)で決めれば
即実行できます。これを2,3年の内
何回も実施されるケースが多く、
香港投資家の間では、
これをセント株と呼ぶようになったのです。

 

共同声明では、こうした行為に対して、
増資や減資を行う期間や割引率、増資や減資に
応じられない株主の権利の売却などについて
上場企業を指導し、規則の修正など、
これまでにない措置を取るようにしています。

 

セント株のファイナンステクニックで、
投資した金額の99%まで失うケースもあり、
深港通の対象株は時価総額50億HKD以上の
会社に絞ることもこうしたことが背景にあります。
セント株は時価総額が10億や20億以内の
会社に特に多いからです。

 

これまで投資は自己責任だということを
主張してきた香港SFC。
強大な世論の圧力でついに動き出しています。
遅きに失したとは言え、投資環境の整備に
寄与できれば大いに歓迎すべきです。

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