長期投資のリターン

上海証券取引所は今から25年前の1990年11月26日に設立され、同年12月19日のちに首相になった朱鎔基元上海市長の立会いの下、式典が行われました。今でこそ上海浦東に立派な取引所のビルが聳え立っていますが、設立当初の証券取引所は当社視察団でもご案内した上海の由緒あるホテル、アスターハウスホテル(Astor House Hotel・現在名は浦江飯店)という場所で式典も同ホテルのワンフロア―で行われました。(のちに鄧小平氏が、上海視察の際、社会主義の中国だって証券取引所はできる。試行錯誤し、失敗したらこれをクローズすればいいと語ったと伝えられたが、上海証取も所謂臨時開業と言うわけだった)

式典の鐘が鳴らされた後、初取引が行われました。初日の取引は上場会社8社でした。2003年11月「第一回東南アジア投資考察団」でハノイを訪問の際、設立間もないハノイ証券取引所を訪問しましたが、当時取引ができる上場会社の数は10社前後で、上海に10年遅れて(ハノイ証券取引所は2000年に)設立されたが、開業当初は似たような風景でした。

設立25周年に当たり、初取引が行われた日の上海総合指数を100として今年11月26日の上海総合指数は終値で3635に達し、パーセンテージにして実に3500%以上上昇したことになります。ブルームバーグによると、同じ期間にMSCIエマージング市場指数は348%、S&P500指数は533%上昇したことで、上海総合指数はこれをはるかに上回っていると言います。

一方、設立当初から個人投資家が80%を占める市場で、売り買いが多く、相場も変動しやすいと指摘され、その一例として今年上半期の大相場で上海総合指数は年初から60%以上上昇した後、夏の2か月くらいの短期間で30%も下落し、ブルが短くベアが長い(牛短熊長――強気の相場が短く、弱気の相場が長い)市場だと言われます。

「ブルが短くベアが長い市場」だと、1990年の設立から市場を観察し、1998年から中国株情報の発信に加わった私も認めることだが、しかしその理由として必ずしも個人投資家が過半を超えることにだけではないと考えます。

1990年と言えば、日本のバブル崩壊の元年と位置づけされた年で、同年の日本のGDPは449兆円だったのが、今年は499兆円の見込みで、25年間の成長は10%強でした。所謂「失われた10年(20年?)」と言われる所以で、「投資するなら成長国で」と指摘される理由でもあります。ちなみに、1990年の中国のGDPは1兆8800億元で、昨年2014年は63兆6000億元になり、25年で実に34倍伸びています。

この数字は上記ブルームバーグが取りまとめた25年間の上海総合指数の伸び率ともほぼ一致していることに気付かれたのでしょうか。

 

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