2ヶ月で倍になった株

香港市場は外資主導のマーケットであることをこれまで何度か触れています。

どういう事かと言いますと、投資の主体は主として欧米の機関投資家と香港現地の機関投資家だからです。香港証券取引所の統計によると、香港市場における内陸投資家の割合は2008年には約3%、2009~12年までは約4%、2013~14年までは1%増えて5%になり、2015年には倍近くの9%まで急増していますが、外資と香港系の約9割には遥かに及ばない「微々たるもの」です。

このことは市場にどのような影響が出るかと言いますと、実は株価の価格付けに大きく影響しています。

まず、IPOの際、公開企業がIPO価格を決めなければなりませんが、中国系投資銀行がこれまで少なかったもので、主幹事会社はどうしても外資系投資銀行や証券会社により引き受けられます。外資系投資銀行や証券会社は「偏見」とまで行かなくても、中国系企業(価値)に対してどうしても「過小評価」の傾向が見られます。

次に、公開市場でもこれら外資系機関投資家は、中国企業の中でも、情報が集めやすく、ディスクロージャーの高い金融系や知名度の高い企業にしか投資を行わないので、中小で成長性のある企業でも「無視」される存在となり、大企業偏在のマーケットになってしまいがちです。中小株の出来高が一日十数万株価しかない理由はここにあります。

前者に関して、前回の「徐さんの中国株」で触れた「万達商業」(上場廃止)があります。2014年12月23日、同社は48HKDで上場しましたが、上場当日IPO価格を割り切り、その後も長期低迷していました。「こんなはずじゃなかった」と上場わずか1年3ヶ月で、同社はTOBで私有化して上場を廃止にしたのです。同社は現在A株への「回帰」を目論んでいると言われ、いつ上場できるか確実なロードマップができていないのが現状です。

後者に関して山東羅欣(8058)があります。同社は2005年にGEM市場(店頭公開)に上場しました。外資系機関投資家の内規では、出来高の少ないGEM市場株は投資対象外なので、外資系からの資金が入らない山東羅欣の出来高が極端に少ない日が多いのもこれが理由の一つとして考えられます。そのためもあって同社はこれまで4回もメインボードへの鞍替え上場を申請しましたが、出来高が微小で、持ち株が集中し(個人株主が少な)すぎるなどの理由(推測ですが)で承認されないままでおります。それなら、ということで、同社も万達商業と同様、「私有化」の道を選択したのは既報の通りです。

しかしここに来て風向きが変わっています。

企業の知名度が高く、ビジネスモデルも期待され、昨年12月15日に上場し、当社「中国企業情報」の1月21日号で取り上げた会社が上場後3ヶ月、「中国企業情報」で取り上げた2ヶ月後に株価が倍になっています。<続く>

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