30年前の中国を彷彿

1週間のインド訪問を終え、土曜日帰国しました。直行便もできてインド行きも随分と便利になりました。

ムンバイを訪問した後、空路デリーに移動し、さっそく空港近くの進出日系企業を訪問しました。

 BSE Jadhav氏から証券取引所を象った額縁を贈呈された

スリーボンドは私が商社マンの時代、その代理店を務めたこともあって、「スリーボンドはどうだろうか」と推奨されたとき、すぐにOKの返事をしました。

スリーボンドは未上場ですが、接着剤の世界的企業で2014年の売上高は711億円、社員2800名の大企業です。マルチスズキのすぐ隣の工業団地の一角に工場を持ち、日系企業としては珍しく法人の代表(社長)はインド人だと言います。現在、統括、財務、技術の3名の社員が赴任し、現地社員125名とともに現地生産に取り掛かっています。

インドについて、政治的に安定しているとする一方、電力不足が現在も続き、停電は日常茶飯事で、生産活動維持のためには、自家発電で対応しています。またネット環境の悪さも頭痛の種の一つだと言います。夜のお付き合いもなくネットで時間つぶしなどしていますが、ネット環境が悪くいらいらしていったん止めたたばこはまた復活したと言います。

またなによりインド人のルーズさには要注意だと紹介してくれました。まず納期を守らないこと、そして責任を取らないことだと言います。運送業者に製品を預けて運んでもらいますが、途中で製品の例えばドラム缶が変形しても凹んでも運送業者として絶対責任を取ってくれないと主張します。なぜなら運送業者は運ぶことが責任で、それ以外は自分の責任ではないと主張するからです。

それでもインドの成長は確実で1983年スズキがインド進出の際、当初年間5万台の生産台数は現在250万台まで増えています。携帯電話も2000年ごろには100万台程度だったのが、現在9億台まで急拡大しています。

10年前訪問した時、牛とスズキの自動車が一緒に高速道路を走っていた風景は今回見られなかったのですが、一般道にはごく普通に牛も牛歩で歩いています。デリーとタージマハルのあるアグラ間は高速道路も整備され、片道3時間で通えるようになりましたが、デリー市内や周辺の道路事情の悪さは10年前と大した改善は見られませんでした。

参加メンバーの大半はインド初訪問で、戻ったらさっそくインド訪問のご感想をお寄せいただきました。

「インドは初めての体験で、3K(臭い、汚い、危険)を体感した次第です。投資対象国としてはまだまだ先とお見受けしています。IT国を目指していると報じられていますが、本当かと疑ってしまいます。カースト制度が色濃く残っていて、これからこの国が発展する上で是正しなければならない重要課題だと拝察致しました」(N氏)「経済成長に興味がありましたが、残念ながら中国やベトナムのような活気が感じられませんでした。でも、こういうことを実際に自分で体験することが大事かなと思います」(S氏)

インフラについて今から30数年前の中国を彷彿させられますが、しかし衛生状態は残念ながら終戦直後の日本――時計の針が止まったままのように見受けてしまいました。

 

<お知らせ>

4月7日都内にて中国勉強会を開催。初めての方もご参加いただけます。詳細は当社HPをご参照ください。

 

 

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