6月視察団 製薬会社訪問のわけは

四環医薬のマネージャーが先日来日し、投資家との昼食会で同社及び業界の現状、今後の見通しなど丁寧懇切に説明し、質疑応答にも保留することなく応えてくれました。社長の郭氏も日本が大好きでこれまで数回来日していますが、決算発表後、役員総動員でアジア、ヨーロッパ、アメリカなどに出向き、プレゼンテーションを一斉に行い、郭社長は今回ヨーロッパ市場担当で、来日出来なかったことを残念がっていたと言います。

アジア市場担当の王さんと林さんは日本からその足でマレーシアと台湾にも向かい、現地で同様の説明会を行う予定だということです。

 

 

 

 

 

 


王マネージャーと林マネージャーに囲まれて

四環医薬は昨年の取引停止以来、少なくとも3回、節目の時にアナリスト向けの国際電話会議を開き、取引停止の経緯や証券取引所との意思疎通、取引再開の進捗状況などについて役員揃って随時報告し、市場とのコミュニケーションを図ろうとしている姿勢を同会議に都度参加した当社も直に感じました。

「高齢化が進む中、政府も医療保険の市場化などを強力に進めることだろう。まだ現在6000社ある製薬メーカーが少なくとも2000社は淘汰され、業界の再編も行われるだろう」と王マネージャーは自社の創薬の開発に自信を見せてくれました。

中国の株式市場は今年で26年目を迎えます。1990年代から中国株式市場に投資されている方はこの26年間の市場の歩みをきっと覚えているだろうと思います。中国株の投資経験がまだ浅い投資家のために人気の会社や業界の周期を振り返ってみましょう。

1990年代初期の頃は、陸家嘴や外高橋など国有の不動産企業が人気の業種でした。

そして1990年の後半、長虹電器やハイアール、南京パンダなど家電メーカーが超人気業種で、家電メーカーの株で財を成したグループの関係者も続出した時代でした。

2000年代の前半、今度は鉄鋼や電力、ガス、上下水など政府の公共事業投資が行われた時代で、関連株も買われていました。

そして2000年代の後半に入り、好景気に支えられて海運や鉄道、航空関連が買われて関連企業の株価も高騰していた時代でした。

またこの時期、米国発世界の金融危機が発生し、景気を支えるため中国政府は4兆元に上る財政出動で、非鉄金属の中国アルミや江西銅業、紫金鉱業などが買われていました。

2010年代に入ると、食料品や飲料株が買われ、A株のみならず、H株の関連企業も株価が高値を更新していた時代でした。

2014年に入ってから中国の高速鉄道輸出が注目され、当時の中国南車や中国北車(現在の中国中車)、中国建築、鉄建などの株も高値を更新していました。

そしてTMT(Technology,Media,Telecom)と言って、インターネット関連やエンターテインメント、モバイルゲームなどが物色の対象とされ、テンセントは最高値を作ったのもこの時期と重なります。

中国の高齢化問題は一人っ子政策の解禁に伴い、この2,3年クローズアップされるようになりました。2016年から2018年にかけてルイスのターニングポイントを迎えるからだと専門家は指摘します。

製薬会社は政府の医療費支出の抑制政策で薬価が抑えられる傾向にありますが、「創薬は対象外」(王マネージャー)だというように、業界の再編が今後大々的に行われる可能性があります。高齢化と医療費支出の削減、先進国ならどこも同じように頭を抱える問題で、薬価を抑えることで解決できる仕組みではないと考えられます。

このような流れの中で、6月の視察団は新薬の開発能力のある会社を絞って訪問したく企画しました。

深セン・香港直通車の開通発表もあって投資家にとってきっとプラスになる旅になると考えます。

 

 

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