金融、医療に強いSaaSの新紐科技

 師走とは言え、香港市場は年末の雰囲気をまったく感じることがありません。コロナ禍でも11月末までの香港市場のIPO件数は132件、調達資金は前年比25%多く、通年では2010以来の最高を更新する見込みだと先週(17日)香港証券取引所が明らかにしています。米中対立の中、米上場中国概念株の香港市場への回帰が特徴的なことでしたが、本土からの新規上場も後を絶たない状況が続いています。本日(12月21日)も公募開始の会社があります。

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お浚いコラム:「ソフト業界の異端児」 金蝶国際

 「金蝶国際」(0268)を初めてこのコラムで取り上げたのは2017年6月14日。当社、京華投資視察団が同社所在深圳に向かう直前です。当時中国のERP市場では「南金蝶北用友」という言葉のように、「金蝶」と「用友」の2ブランドが天下を南北二分した状態でした。有望な市場と見込んで、深圳に飛んで行ったのです。株価は3.10HKDだったと記憶しています。あれから3年半立ちますが、その間も「クラウドサービスの中国一を」、「ソフトビルにパワーを」、「金蝶国際の中間期決算を読む」、「金蝶国際 株価は動いた」、「金蝶国際 株価が疾走」、「粗利率81.5%のソフト企業」、「黒字化はすぐそこまで」、「成長に新しいエンジン 金蝶国際」と、フォローし続けました。昨日(12月17日)の終値は28.2HKDと10倍まであと一歩のところまで上昇しています。
 2017年6月14日のコラムです。ご参照ください。

         ソフト業界の異端児

「クラウド」(cloud=雲)と言う言葉が普通に耳に入る時代になりました。「インターネット+」が提唱されて以来、アリババクラウド(Alibaba Cloud)、百度クラウド(Cloud Baidu)等のように各社がしのぎを削るようにクラウドを開発するようになっています。来週出発する当社中国投資視察団が深センでソフトの会社から5年かかってクラウドへの構造転換完了を宣言した企業を訪問します。
  「2012年から構造転換を模索し、2016年にやっと完成した。成長率も5年来の最高を記録した。この5年間はとても困難で、そしてイノベーションに満ちた、とても忘れられない日々だった」

 こう振り返ったのは金蝶国際軟件(0268)の徐少春会長。2016年度本決算発表会(3月)の冒頭挨拶の一節でした。
 徐少春と言えば、業界でも少し異端児的存在。今年の5月4日、同氏は北京大学での新製品発表会で、同社主力のERPと身分的象徴のCEOの椅子をゲストと共にハンマーで叩き潰したのです。
 ERPとはEnterprise Resource Planning・企業資源計画(統合基幹業務パッケージ)のことで、代表的なものは、例えば会計ソフトです。従来の主力製品との決別と言う意味でのパフォーマンスですが、従来の製品を叩き潰すのはすでに4回目。2014年の5月、ノートパソコンを叩き潰してモバイル通信への移行を宣言しました。同年8月パソコンのサーバーを叩き潰して金蝶クラウドERPのリリースを発表。そして2016年の5月、ご自身のオフィスも破壊して組織の境界線を打破することを宣言。
 そして今年。ERPは管理ソフトで、1993年から初代製品を開発してすでに6600万社に納入し、2005年から以降12年連続(IDC統計)中小企業マーケットでのシェア№1を確立しています。
 にもかかわらず、自らの市場一位を破壊しようとしたのです。何故なのか。「伝統的ERPは複雑なプログラムの管理システムで、この30年間世界的ERPメーカーもただ一つの事しかやっていない。それはERPシステムのグレードアップだ。つまりERPプログラムシステムの改訂や修正を繰り返し、余分なものを付け加えたりしてシステムをますます複雑にし、効率を低下させたり応用がますます悪化させたりしていた」と徐董事長(会長)が言う。
 ERPの概念を再構築しようと、分散化、モバイル化、ソーシャル化を通してクラウドで企業に規模的、経済的情報サービスを提供しようとするのが、金蝶雲(kingdee Cloud)だ。
 2016年の本決算では、同社金蝶雲サービスの売上高は前年比103%増の3億4100万元となりましたが、全売上高でのシェアは18.3%で、売上の8割以上は従来製品であることに変わりはありません。果たして同社が標ぼうするクラウドへの構造転換は近い将来の同社業績を支えられるのか、発表会での投資家との質疑応答から糸口となるような質問とその回答を次回拾ってみたいと考えます。(了)

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IPで勝負する「泡泡瑪特」―ポップマート

 アリババグループとテンセント傘下の閲文集団、物流大手の豊巣網絡は独禁法違反で14日市場監督管理総局から50万元の処分を受け、アリババ、テンセント、閲文集団3社の株価は揃って下落しました。一方で、中国の税関で知的財産権侵害の疑いのある輸出入商品摘発の記事もここ最近かなり増えています。内外企業の要望に応える形で市場経済の体裁を整えるようになり、法令順守、IP保有企業の経営環境が改善されていると言います。閲文集団は書籍や映画などで保有IPが一番多い企業であることに対して、マンガやアニメなどのキャラクターでも保有IPの多い企業があります。このほど香港市場に上場した「泡泡瑪特」―ポップマートです。

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トレンディにも目を向けよう

 Z世代(ジェネレーションZ)という言葉を聞いたことがありますか。1980年代から1990年代前半に生まれた世代をY世代(ジェネレーションY)と呼ぶことから、その次の世代、1995~00年以降に生まれた世代のことを米でZ世代と呼ばれています。中国では、「90後」、「00後」という言葉が使われていますが、消費者層として15~25歳の年齢層をひっくるめてZ世代が使われています。統計によると、中国では1995~05年までに生まれた人口は2億6400万人、全人口に占める割合は18.9%に上ると言います。Z世代独特なカルチャーと消費構造を成し遂げていることに特徴が見られます。そのような消費人口に焦点を当てる商売(ビジネスモデル)がトレンドになっています。
 その内の1社が先週香港市場で株式を新規公開しました。

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