中国の新エネ車(NEV)の年間生産台数がこの11月に1千万台を突破し、各社とも差別化を図ろうと価格とともにADAS(先進運転支援システム)やAD(自動運転)などで生き残りをかけています。自動運転に不可欠な「目」を巡り、テスラのビジョン(視覚)路線か、LiDARセンサーかにも分かれ、これによりLiDARセンサーを専門とする速騰聚創(ロボセンス)と禾賽科技(ヘサイテクノロジー)の株価は今週ジェットコースターのように乱高下を経験しています。
ことの発端は、イーロンマスク追随の一部中国の新興勢力がやはりビジョン(視覚)だとして、いままでLiDARセンサー派だったのが、ビジョンに切り替わるとの路線変更の報道が出て、両社の株価が急落したが、しかし、追随対象のテスラ自身がすでに一部の自社EVにLiDARセンサーを取り付けているとの報道も出て、急落した株価が今度急伸するというまさにジェットコースターのような展開となったのです。
禾賽科技は先月26日に第3四半期決算を発表した後、当日の株価が約44%急伸し、29日には約11%、12月4日には約19%、6日にはさらに10%、今週17日には36%と決算発表後約15営業日で期待の高さを裏付けるように株価が約2倍急騰したのです。
同社は2014年上海で設立され、16年からライダーセンサーの開発を始め、現在内外メーカー20社の75モデル車にOEMで同社製品を提供しています。
製品の応用として、▽ADAS搭載の乗用車や商用車で、理想汽車、シャオミ汽車、「零跑汽車(LeapMotor)」、長安汽車、長城汽車などに納入。▽自動運転タクシーで、百度(バイドゥ)やDIDIなどに納入。▽無人配送車、スマートロボットで、美団無人配送車、「毫末智行(Haomo.AI)」などの実績があると報告されています。
自動車産業サービスプラットオームの「NE時代」の集計によると、24年10月現在、中国の乗用車ライダーセンサーの設置台数は17万台で、うち、速騰聚創(ロボセンス)は5万4千台、シェアは31.8%、禾賽科技は5万2600台、シェアは30.9%、華為技術(ファーウェイ)は4万5300台、シェアは26.6%、図達通は1万8100台、シェアは10.6%と、上位4位のシェアを明らかにしています。
同社に関して今年1月米国防省は中国の軍需関連企業として制裁リスト(1260H条リスト)に指定し、5月に同社は米政府を相手取って訴訟を起こした結果、8月に同リストから同社が外れたが、10月に再度同リストに指定され、11月には同社も再び米国防省を提訴しています。その繰り返しで株価も上がったり下がったりはしている現状です。
ライダーセンサーとビジョンとの比較で高すぎることがネックの一つとなっていたが、創業者の李一帆氏は来年にでもさらに現在の半額にすると宣言。過去6~7年間で同社チームは数十万元(数百万円)かかる「ぜいたく品」を99%安くなる工業製品(汎用品)にした(同社広報)というので、低価格帯の車でもライダーセンサーを搭載できるようになると見込まれます。
速騰聚創とともに禾賽科技もしばらく市場で注目されると考えられます。