「われわれがやらなければ外資系がやるだろう」

「難しい商売を簡単にする」がジャック・マー語録(信念)の一つです。中国で商売するのに何が一番難しいことか。

かつて高速道路株を取り上げた理由の一つに「通行料を払わなければ、ゲートから出られないからだ」と邱先生が触れたことがあります。

このことはまた、中国で第三者決済のプリペイドカード会社が急成長の理由の一つとしても挙げられます。かつての国営企業に不良債権が多い理由の一つに、売掛金の回収ができなかったことにあります。民間企業も同様の「悪習」があり、売掛金の回収ができないと、どんなに良い商売も頓挫してしまいます。

そのことに着目したジャック・マーはまず信用システム作りから取り組んだのです。

ジャック・マー発言の続きです。

「中国で電子商取引は成り立たないと多くの人々が考えていた。なぜなら、中国には信用システムがないことと銀行のような決済システムがないこと、さらにネットのインフラがないことが理由のようであるが、しかし私はオンライン(ネット)取引が絶対必要だと固く信じていたのだ。

信用システム、決済システムの欠如また市場システム、検索エンジン、ソフトの不備や不足または中国にこれらがなければ、我々がこうしたシステムを作ればいいと考えた。創業者はすべてがそろってから始めようと考えるなら、そのようなチャンスはもうあなたのものではなく、人のものになってしまうのだ。

現在アリババグループは合計7社ある。なぜ7社に限定し8社まで増やさないのか。それは我々の能力が限られているからだ。創業者の多くは2年間で事業を軌道に乗せられなかった場合、創業の動機を後悔してしまう傾向が見られる。アリババが本日を迎えることができたのは、我々は事業を電子商取引一本に絞ったからだ。上場を実現するためまたは早く現金化するためだけなら、ゲームやその他短期で現金化できるセクターに手を染めることもできたが、そうはしなかった。

もう9年間も頑張ったので、あと90年頑張ったって大して変わらないと自分自身に言い聞かせた。このような心持で臨むことができることこそ、諦めずに前を向いて歩くことができたのだ。アリババが7社を作ったのは、中国にはこれらの会社(の事業内容)が足りないか、またはこれらを必要としているからだ。

アリペイ(支付宝)を始めたのは、信用システムに必要のほか、我々がこれをやらなければ、外国の企業が中国に入ってこの事業をやるだろうという危機感があったからだ」

ジャック・マーの先見の明でしょうか。

 

 

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