年明けに新規上場(IPO)予定の新紐科技(9600)をご紹介しました。SaaS関連では、財務系に特に強い金蝶国際(0268)をこのコラムで何度か取り上げています。同じくSaaS関連でテンセントが大株主の微盟集団を昨年4月にご紹介し、その後9月に再度取り上げました。同社株価も決算を経て実績の裏付けが示され、4HKD後半から13HKDまで上昇しています。昨年9月9日のコラムを公開しますのでご参照ください。
「中国版Salesforceのみならず、世界の微盟を目指す」
テンセントの自社株買戻しとその後の株価の推移を時系列でご紹介しました。テンセントの成長について「真似」から「買収」、さらには「資本参加」へと、その歩みをこのコラムで振り返ったこともあります。資本参加の1社に微盟集団 (ウェイモブ・2013)という会社があり、買い増しを繰り返した結果、現在テンセントは微盟の2位の大株主に躍り出ています。そして今日、9月9日は微盟にとって特別な日となっています。
微盟は先月28日、6月までの中間決算を発表しました。まず中間決算の結果を見てみましょう。(以下「新華財経速報」より抜粋)
微盟集団、19年6月中間決算は売上高倍増
中国のマーケティングサービスプロバイダー、微盟集団(ウェイモブ)が28日発表した2019年6月中間決算は、売上高が前年同期比97・8%増の6億5700万元(1元=約15円)と、市場予想を大きく上回った。調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は79・2%増の6830万元。2本柱のSaaS(サービスとしてのソフトウェア)製品事業とプレシジョン・マーケティング事業が順調に売り上げを伸ばしたことが大幅増収につながった。
微盟集団は、中国のクラウドビジネスとマーケティングソリューション分野でトップを走るプロバイダー。中国のIT大手、騰訊控股(テンセント)のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)プラットフォームを活用した中小企業向けマーケティングサービスも展開している。主なサービス対象は中小企業で、2019年上半期(1~6月)の登録企業は300万社に上った。
今年1月の上場後初の決算は増収増益となった。SaaS製品の売上高は41・1%増の2億1900万元。プレシジョン・マーケティング事業はグロス売上高が86・1%増の17億9700万元、売上高は約2・5倍の4億3800万元といずれも大幅増となった。
主要株主のテンセントが上場後2度にわたり、持ち株比率を引き上げた。7月にはシンガポール政府投資公社(GIC)や世界最大の資産運用会社ブラックロックなどを引受先とする株主割当増資により、総額11億5700万香港ドル(1香港ドル=約14円)の増資を行った。 (記事終了)
同社は中国の内陸でビジネスを展開していますが、上場は香港市場です。同じ中国と言えども、「一国二制度」の関係で内陸の投資家は香港市場上場の銘柄を全部投資できるわけではありません。そこにできたのは中国内陸と香港とのストックコネクト(俗で言う「直通車」)で、取引できる対象銘柄は出来高や時価総額などでカテゴリー別に指定されます。
このストックコネクトの対象銘柄に微盟集団が指定され、さらに指数株に組み入れられて9月9日の本日、取引がスタートしたのです。
ストックコネクトの取引対象銘柄の組み換えは半年に一回行われますが、微盟の上場は今年の1月15日、上場後わずか半年(審査の締め切りは6月30日まで)で対象銘柄に指定されたことになります。ちなみに、9日発効の組み換えで同社を含む22銘柄が組み入れられ、華人置業など31銘柄が指数から外されたので、内陸の投資家ができるかどうかで、上場会社にとっては大きな意義のある対象選定となります。
なお、同社の公募価格は2.8HKDで、最高で6.7HKDまで買われ、現在4.5HKD前後で動いています。
中間決算報告で、同社孫涛勇CEOは「中国版Salesforce (セールスフォース)のみならず、世界の微盟を目指していく」と同社目標を明確に打ち出しています。安いところで拾いたい銘柄の一つです。
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