伝統産業からサービス産業へ

ダイヤモンド・プリンセス号の旅は9月6日から18日までの13日間のコースで、着岸せず、二日間連続海上を航行する日が全行程で3回ほどありました。着岸する日は会社訪問を、連続航行の日はセミナーをと企画し、期間中の10日と16日の2回に渡って船内ラウンジを借りて中国経済と中国株についてのお話をさせてもらいました。 

初回は「中国のネット三雄:BATから見る経営環境」をテーマにして、百度――BAIDU(B)、アリババ(A)、テンセント(T)の成長の背景と現在の経営環境の中でネット企業成長の理由についてお話をしました。 

帰国後の18日、習近平国家主席の訪米に随行する企業(家)名簿(中国経済News & topicsご参照)が発表されました。そこにBATの3社がそろってご登場!

習氏は22日から25日にかけてオバマ大統領の招聘で米国を公式訪問していますが、恒例のビジネスミーティングに両国の企業家が商談することになり、今回随行する合計15社のうち、BAT3社のCEOがリストアップされているのが発表で明らかになっています。 

近年、国家主席や総理の外遊に企業家同行の例は珍しくありません。しかしこれまで国有企業を中心とした外遊同行は少しずつ変化が見られるようになってきています。民間企業も同行のリストに入るようになったことです。 

それでも昨年(2014年)の習近平氏のヨーロッパ訪問には自動車、金融、エネルギー、医薬、エレクトロニクス関係企業のCEOが同行しましたが、BATは1社も入っていませんでした。それが今年3社揃って参加していることには、ネット分野での米国企業との対話重視と中国経済の構造転換に従来の伝統産業からサービス産業への変換の時代が訪れたと理解するのが正解でしょう。

BATのネット三雄は時価総額、売上、PVなどでは、世界ネット企業の上位10位にランクインされているほか、単なるITに留まらず、金融、医療、教育、物流、エンターテインメントなどにも参入し、更に「インターネット+」という国策に則って、第一、 第二産業にも現在浸透し、経済及び産業構造の転換をけん引するイノベーションの代表的企業になっています。 

ちなみに、同行15社の内、海運の中遠集団、建築の中国建築、銀行の中国銀行と工商銀行、製造の天津鋼管の5社が国有企業であるほか、残りはIT、金融、食品、物流、化工、家電など10社すべてが民間企業となっています。

同行企業名簿からも中国は世界の工場から世界の市場に転換しようと模索している様子が伺えます。そのプロセスで投資家として何を狙えば宜しいのでしょうか。

 

 

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