上海B株指数は17日、最大6.74%暴落しました。人民元対米ドルの為替も6年ぶりの元安水準で、人民元資産(B株)だが、米㌦で勘定されているため、元安の影響でB株が売られたのが、暴落の原因の一つだと見られます。
今月7日の『徐さんの中国株』で「為替も株式市場も空売りの試練」を取り上げたところ、読者のN様から次のようなメッセージを寄越してくれました。
「世界トップの海外企業買収をしていれば当然ドル買いが強くなるのは必定。まあこうしたことを総合的に勘案する必要があるし、海外のヘットファンドが空売り仕掛けをしている証拠はそもそもあるのですか。・・・・・・なんらかの投機的な行動をとればたちまち大火傷しかねない。本土からの大量の資金流入に加えて、欧米筋も参戦していると見る。とても空売りなんて兆候はないと思いますが」と。
ブログの細部まで読んで頂き、私もブログを書くために取った時間も無駄ではないなと嬉しく思いました。
人民元外為の空売りが仕掛けられていることについて、次の2点において判断したものです。
一つは、香港のインターバンク間の短期貸出金利(Hibor)の高騰です。今年、Hiborは2回高騰を演出しました。
1回目は、1月12日、翌日ものについて前日の13.4%から66.8%に急騰したことです。
2回目は、9月19日、同じく翌日ものは23.68%まで高騰しています。
中国企業による海外買収は9月までで1700億米ドルという史上最高水準に達し、旺盛な外貨需要があることはN様のご指摘の通りです。
しかし、海外買収の資金は長期資金が多く、社債も含めて金利にしても3~5%が相場のようで、10%以上も金利を払ってまで資金を調達する企業はまず見当たらないことが考えられます。
そしてもう一つは、アメリカの投資ファンド、カーライル・グループ(The Carlyle Group)傘下のEmerging Sovereign Group(ESG)が管理するヘッジファンドの一つに、今年の8月まで43%暴落し、暴落の原因は人民元の空売りだったというレポートがブルームバーグにより発表されたのです。
同リポートによると、Brian McCarthyが管理したNexusというファンドは2015年35%も資産を増やしましたが、2016年に入り、その資産は5億米ドルから1億2500万ドルまで目減りしたと言います。
ESGの投資家向け目論見書で、中国資産の価格と人民元は「崖から落ちる」ように暴落し、人民元の空売りと信用取引の準備をしている」と謳っていました。
同ファンドは2015年8月11日の人民元切下げで大きな利益を手にし、IMFが人民元を
SDR構成通貨に組み入れた後、米ドルに対して加速度的に元安になるだろうと予測していました。
そうした指針に沿った投資はN様もご指摘の通り、「人民元相場はあくまでも中国政府筋の管理相場、こうした市場を相手に中国政府の意に反した投機的行動は百パーセントできない」結果となり、同ファンドも大きな火傷で、今月31日に身売り(譲渡)することになったと言います。
このように、中国国内市場でできない空売りは、オフショア市場では、いつも狙われていることを肝に銘じたいものです。