起爆剤か延命措置か

今週市場の注目は全人代委員長(国会議長)張徳江の香港訪問です。国の最高リーダーの一人としての香港訪問は2012年当時の胡錦濤国家主席の香港中国返還15周年記念イベント出席以来のことで、習・李政権以来初めてです。弾丸の地、香港を三日間もの日程で訪問するのには、異例ではないかと見ています。

17日専用機で香港入りした張委員長は、空港でメッセージを読み上げ、今回の訪問の目的について、見ること、聞くこと、そして話す(演説)ことだと強調しました。

訪問のメインイベントには、「一帯一路」フォーラムの参加と香港政庁の歓迎晩さん会の出席などとありますが、これらのイベントでの演説でどんなことについて触れるかが注目されています。

投資家としての関心は当然、深セン・香港市場の相互直接取引としての「直通車」の開通時期について発表されるかどうかですが、これには「慣例」としてこれまで国のリーダーや内閣のメンバーが香港訪問の際、何らかの「手土産」を持参することがあったからです。例えば、2011年当時副総理として香港を訪問した李克強氏は香港経済を下支える内陸と香港間の金融や貿易に関する優遇措置、10数項目を発表したことがあります。全人代委員長就任の前に、香港隣接の広東省で行政を司った経験のある張氏には、現在も香港・澳門の事務担当としていま香港が何を必要とし、香港の将来はどのような方向に進むべきかを一番良く理解しているので、その発言は各方面に神経を尖らせています。

香港の「凋落」について清話会ブログの「徐さんの中国投資最新レポート」コーナーで「香港はどこへ行くのか」と題して近年の香港の現状について詳細に綴っています。香港経済の空洞化に伴い、若い人を中心に理想の職にありつけることもできず、その不満のはけ口を長官選出の選挙方法や内陸観光客の排斥などに向けています。

先週末、香港統計局は第1四半期のGDPを発表し、前期(2015年第4四半期)よりマイナス0.4%、昨年同期比でも半分程度の0.8%の伸びであることが明らかにされました。

深セン・香港直通車の開通は金融市場に内陸の潤沢なマネーを誘導し、香港経済を支える一つの措置に過ぎず、より包括的な「優遇策」が発表されるかがポイントとなります。

今回張委員長から直接発表されなくても、この訪問により開通のきっかけとなればと期待されています。その直通車が香港株式市場の起爆剤になるか、それとも低迷の香港市場の延命措置で終るのか、多くの投資家の関心の的となっています。

 

 

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第16回投資視察団は来月の12日から18日にかけて行います。北京では、企業訪問するほか、四環医薬の役員とお食事会を予定しています。また上海では、東瑞製薬を久しぶりに訪問することになっています。どちらか一日だけでもご参加頂けますので、関心のある方は当社HPをご参照ください。

 

 

 

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