2020年までの重点育成産業は

中国本土株式市場は乱高下から脱皮し、安定を取り戻しつつあります。これから年末にかけて中国株投資家または中国経済に関心を持つ方にとって見逃してはならない大きなイベントが一つあります。 

10月に北京で開かれる第18回五中全会です。なぜ見逃してはならないほど大事かと言いますと、五中全会では第13次5か年計画が策定し発表されるからです。 

五中全会の開催については、7月20日の中央政治局会議で発表されたものです。

中国の5か年計画は1953年にスタートしたもので、正確には「国民経済と社会発展に関する5ヶ年計画」で、今年は第12回5ヶ年計画の最後の年で、2016年は第13回5ヶ年計画のスタートの年になりますし、習・李体制になって初めての5ヶ年計画でもあって「ニューノーマル」の下で、どのような目標が打ち出されるか内外から注目されています。 

経済改革を始め、高度成長に突入したこの30年の5ヶ年計画を振り返ってみましょう。なお、GDP成長率は国家統計局の発表によるものです。 

まず、1981年から1985年までは第6回5ヶ年計画で、GDPは5.2%から15.2%に達して8.8%で終えています。 

次に、1986年から1990年までの第7回5ヶ年計画で、GDP成長率は8.8%から11.6%まで伸びていったん3.8%に落ちて9.2%まで回復した5年で、3.8%までダウンしたきっかけとなった天安門事件はまだ記憶に新しいものです。 

そして1991年から1995年にかけての第8回5ヶ年計画。GDPは9.2%から14.2%に、最後の年は10%で迎えています。この間、中国の株式市場ができて、鄧小平氏の南方講話が取り上げられた期間でした。 

さらに1996年から2000年にかけての第9回5ヶ年計画では成長率は10%から7.6%(アジアの金融危機)へ、更に8.3%へと回復しています。 

第10回5ヶ年計画(2001年~2005年)では、高度成長に突入し、この間のGDPも8.3%から12.7%へと維持しています。 

第11次5ヶ年計画(2006年~2010年)は不動産価格が最も高騰した時期で、GDPも12.7%から14.2%へと突進し、世界的金融危機を経て、9.3%へダウンしています。 

2011年から始まった第12回5ヶ年計画では、GDPは初年度の9.3%から現在の7%というニューノーマルの常態に入っています。 

2012年の第18回党大会で、2020年の目標として、GDPと国民所得倍増が打ち出されています。その為には、それまでの毎年GDPを最低6.5%以上の成長が最低限必要とされます。 

第13回5ヶ年計画の策定に参画した専門家は、前回第12回と比較して、次の分野が新しく組み入れられていると言います。消費ニーズの長期かつ有効な体制の構築、情報経済、戦略的新興産業、人口発展戦略と政策、企業の海外進出戦略などです。 

また専門の分科会には、医療や省エネと環境、新素材、食品安全と軽工業、農業、IT、国防、海洋経済、交通、機械、文化などのセクターの専門家が招聘されて計画の策定に参加しているということです。 

国が重点的に育成しようとする産業は当然今後最も成長していく分野だろうと考えられます。

 

 

徐さんの中国株の最新記事