これぞ 構造転換!

景気のリセッション、株式市場の低迷・・・そうした中での視察団の敢行には、「一番悪い時は、一番のチャンス」だという邱先生の言葉に背中を押されているからです。

今回は6泊7日で、北京、石家庄、上海、蘇州を見て回り、上場企業5社を訪ねました。5社のうち、3社は医薬品業界の会社で、医薬業界の成長はすでに終わったのでは、と昨今聞かれますが、これからが成長の正念場ではないかと敢えて集中的に見て回ることにしました。そして単発にターゲット企業を見るよりも、集中的に見ることにより、業界にいる上場企業同士がお互いどのように相手企業を見て(評価して)いるのか、尋ねるのも非常に効果的な訪問だったと私としても大いに勉強になったのです。

薬品業界の贈収賄スキャンダルで、これまで数社も取引停止や罰金を食らわされたりしましたが、医薬分業がなかなか進まない理由について、蘇州で訪ねた東瑞製薬(2348)の陳総経理(社長)が中国医薬品の販売や卸のシステムに問題があるとして、「処方薬で病院に納入する医薬品の場合、製薬メーカーが病院の先生をお食事に招待する場合でも、贈収賄の疑いが持たれるが、東瑞の場合、納入先は薬局なので、経営者をお食事や観光などに招待した場合、営業経費として処理できる」と製薬メーカーと病院との癒着をこのように説明してくれました。

中国では、現在製薬メーカーは6000社も数えるが、業界の再編や買収などは時間の問題だと予想されます。今回石家庄で訪ねた石薬集団(1093)は、以前訪ねた某製薬メーカーの社長に、中国の製薬メーカーで創新薬の開発能力があり、今後も成長していくだろうと思われる企業はどこだろうかと尋ねたところ、3社を上げてくれた中の1社に石薬集団があったのです。それが今回の訪問につながった理由の一つですが、1994年、内陸の製薬メーカーとして初めて香港に上場し、ジェネリック薬を中心に開発が行われてきましたが、2012年から企業単位としての構造転換を模索し、創新薬の開発に力を入れ、現在売上高の50%以上、利益の80%以上が創新薬によるものだというところまで成長してきています。

製薬に限らず、先日のブログでも触れている通り、IT業界でも、これまでPCなどハードな製品や部品の代理店で売上高を700億元まで上げた神州控股も事業の最盛期に、ソフトの開発に転向し、現在スマートシティや金融、農業、人口統計など様々な分野に同社開発のソフトを利用してもらうように成功しています。経済の構造転換は一体何をやろうとしているのか、今回は実体経済の中で、企業レベルでその成功例を見せてもらいました。私にとっても実に勉強になった視察でした。


四環医薬研究棟 将来に備えて一棟は予備に

 

 

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