タイムリミットが迫る中国概念株

 米での上場廃止が取沙汰される中国概念株に、新たに5社が「リスト入り」しています。百済神州、百勝中国、再鼎医薬、盛美半導体、和黄医薬の5社で、その内、4社が香港にも同時上場されています。

 先週木曜日(10日)、米上場の中国概念株はまたも大暴落。寄付きから前出百済神州は10.22%安、百勝中国は8.46%安、、再鼎医薬は17.07%安、盛美半導体は20.61%安、和黄医薬は8.45%安でスタートし、その影響でアリババは8%、ビリビリは14%、PDDは17%と多くの中国概念株が連れ安となっています。
 引き金は同日、米SECが「外国企業説明責任法(HFCAA)施行規則」に基づき、新たに前出5社を指定リストに入れるとのSECの公式発表。
 SECは昨年12月2日に採択した「HFCAA施行規則」の最終案で、「米上場の中国企業は政府に所有・管理されているかどうかを開示し、適正な監査を受けていると証明しなければならない」としています。
 SEC傘下の上場企業会計監視委員会(PCAOB)は米上場企業を担当する監査法人を検査し、適切な会計監査が行われているかどうかをチェックするとしていますが、これまであやふやだった会計検査について、トランプ前政権で20年12月18日以降に始まった事業年度で3期連続で検査を拒否する場合、上場廃止になると明確に打ち出しています。
 上記会計監査について中国側が難色を示していることをこのコラムで何度か触れています。
 しかし、前出5社について「上場廃止にあたらない」ことを自ら証明しなければならないと、今月の29日までにSECに対して「身の潔白」を証明する証拠書類の提出を義務付けられています。上場廃止の「恐怖」から売り先行で中国概念株の全面安となっています。
 5社のうち、盛美半導体以外、香港にも同時上場しているので、米市場に続き、14日の香港市場も揃って10%以上の下落となっています。百済神州(6160)は以前から注目している銘柄で、同社IRマネージャーは当社視察団が以前訪問した製薬会社のIRマネージャーで、3年ほど前から百済神州のIRマネージャーに引き抜かれ、視察ミッションでぜひ来てほしいと要請を受けているが、コロナで視察団もストップしたままになっています。
 米中貿易戦から始まった対立は金融分野にも波及し、SECからタイムスケジュールも示されています。3月29日の期限までに「潔白証明」を提出できなくても即上場廃止とは行かないが、「上場廃止」というレッテルが貼られ、株価が大きく影響されると考えられます。
 米SECの発表に対して、 中国証券監督管理委員会(CSRC)は11日、「WeChat(ウィーチャット)の公式アカウントで、CSRCは中国財務省とともに、米PCAOBと対話を進め、進展も見せているとして「互いの努力で両国の法律と監督管理の規則に合う解決案が見つかるだろう」とコメントしています。
 百済神州も再鼎医薬も株価は高値から約7~8割も下落しています。米中の相互譲歩案が纏めれば、また一気に株価が戻るだろうと考えます。引き続き注目して見ます。

 

 

 

 

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