予期せぬことが多発の年

中華圏のお休みも昨日までで香港市場は1日から、上海・深セン市場は本日(3日)から再開しました。

お休みの期間中に、トランプ米大統領が米中貿易に関連する法案や大統領令を出さなかっただけに、中国の関係役人が胸を撫で下ろしたのではないでしょうか。

しかし、世界で5人に1人が華人と言うこともあって、毎年恒例主要国の大統領や総理大臣が中華圏の春節に併せてテレビや新聞、SNSで新年を祝うメッセージを発信し、日中関係が不安定の中でも安倍首相が在日華字新聞経由新年のごあいさつを送っています。ところが、クリントン、ブッシュ、オバマなど歴代大統領が続けてきた華人向け新年のメッセージは春節休み明けでもついに発信されなかったことに、中国ではこれまたトランプ新大統領について様々な憶測が出ています。

大統領就任約2週間、メキシコ、TPP、ドイツ、日本に関連する大統領令に次々と署名し、発令されてきていますが、主要貿易相手国の中国について、何一つ動きのないことについて、関係者にむしろ気味悪いサイレントのように受け止められているようです。

憶測の一つに「手堅い中国」には、用意周到に対応しなければならないことが上げられます。

メキシコを真っ先にターゲットに立てているが、メキシコとアメリカの貿易黒字は580億ドルで、米国にとっての貿易赤字の8%にも満たない数字です。ドイツと日本を名指して為替操作していると批判するが、ドイツ、日本に対しても貿易赤字はそれぞれ750億ドルで、赤字全体のそれぞれ約10%となっています。

アメリカにとって貿易赤字の7500億ドル(2015年)の中の3700億ドル、全赤字の凡そ半分が対中貿易から生まれたもので、貿易黒字解消の思惑なら中国をターゲットにすべきなのに、やはり取り立てやすいところから始まったのかと思われてしまいます。

米中貿易関係は相互依存の関係で、中国はアメリカが推進したグローバル化のお蔭で、世界経済の一体化に加わり、労働集約型製造業から安い人件費で作る靴やカバン、洋服、玩具などをメインに米国に輸出しましたが、20年も経って中国の労働生産性も高まり、現在米国向け輸出の対象商品は通信設備やPC、携帯電話、家電、電気電子機器、自動車部品など労働生産性の高い分野のウエイトが多くなっています。

前政権から引き継いだ中国製大型洗濯機に32%~52%の反ダンピング税をかけるなど中国製品に対して高い関税をかけても、その部分の製造業が東南アジアなど第三国に流れてもアメリカに戻ることはまずないことでしょう。

しかし、欧米市場を目論んで拡張してきた中国の生産過剰は、欧米から今まで以上の関税を課せられると、企業が苦戦を強いられることにほぼ間違いありません。

このように対中国の貿易戦は米国の貿易赤字削減にとって最重要ですが、後回しにされていることはいったん発動すると収拾が付かなくなることが懸念されて後回しにされるではないでしょうか。

中国政府筋は、トランプ氏就任前の「一つの中国」に関する発言についてコメントを出していますが、それ以外について論評を控えています。どちらも相手の心を探っているようにも見えますが、一触即発であることに変わりはありません。

そうしたこともあって株式市場も一進一退を繰り返しています。

今年は予期せぬことが多発すると考えられます。中国株式市場についてどうぞ「徐さんの中国株」をご注目ください。

 

<投資視察団のお知らせ>

第19回投資視察団は3月19日から24日かけて行います。

スリランカのコロンボ、キャンディ、シーギリヤを訪問して上海経由日本に戻る5泊6日の旅です。

3月は上場企業本決算のシーズンです。上海で企業訪問して中国経済全般についても勉強しましょう。久しぶりの方もどうぞご参加ください。詳細は右上「京華投資視察団」をご参照ください。締め切りも迫っています。

 

 

徐さんの中国株の最新記事