低い粗利率に高い効率 シャオミに通用するか

 シャオミは中国の百年企業、同仁堂から信頼できる製品を作ること、新進企業の海底撈(ハイディラオ)国際から、顧客に期待以上のサービスを提供することを自社の経営理念にしています。しかしこれだけでは企業として永続的に利益を出し続けることができるどうかまだわかりません。そこでシャオミは今度永続的に利益を生み出すために、世界的に売上高(2018年)1位の米系ウォルマートと同35位のCostcoをお手本にしています。

 ウォルマートやCostcoについて皆様もよくご存じでここで多くを語る必要はありませんが、シャオミは上記2社から何を習おうとしているのか、同社雷軍会長は次の体験事例を紹介しています。

 出張でよくお世話になるスーツケースのブランドにサムソナイトというのがある。通常サイズで中国のスーパーでは凡そ9千元(約13万5千円)で販売されている。しかしCostcoでは150ドル(約900元)で販売されていた。中国国内小売りの約10倍だという。
アメリカの不動産や土地、人件費など中国を下回ることはない。しかしサムソナイトだけを取ってみて中国の10分の1の価格。中国の人々は米国の6分の1か、10分の1の賃金で、米の10倍の値段を支払わなければならない。これはどういうことか。
 氏はCostcoについて研究した。Costcoのすべての商品の粗利率は1~14%しかないということに気付いたという。Costcoのすべての商品の粗利は14%を超える場合、最高経営責任者(CEO)と同社役員会の認可を受けなければならいと規定されている。同社決算報告によると、平均粗利率は7%。7%の粗利率では利益(儲け)が出るわけがない。Costcoはどうやって利益を出しているかというと、会員制にして利益を出している。会員になるには100ドルの会費を支払う。現在の会員数は(米国内では)約2千万人(世界では9千万人超――2018年)に上るという。
 ウォルマートとCostcoから学んだことは低い粗利率と高い効率だった。低い粗利率だからこそ、やむなく生産性を高めなければならない。高い効率を維持できなければ赤字まみれの経営に追い込まれてしまうのだ。
 高い効率を維持するには人材が何より重要だ。人件費を抑えるためにも多くの従業員を雇うことが出来ない。シャオミは人材募集の際、どのポジションでも共通した要件が一つある。業界で10年以上の経験者だということ。
 シャオミは現在製品の生産(ハード)からインターネット、Eコマース、金融など業容を拡大しているが、OPEX(Operating Expense・事業運営費)を8~10%以内に抑えている。シャオミは世界でも最も効率の高い会社ではないかと考える。

 氏は最後に、生産性を高める方法として、一つは、乾いたタオルをさらに絞ること、もう一つはビジネスモデルの最適化――適材適所で流通プロセスを簡素化させることで、シャオミは主に後者を採択していると披露しました。
 中国のEコマースが急速に成長した背景に、伝統的小売りが非常に遅れているからだとよく言われます。しかしウォルマートもCostcoもリアルの店舗で、しかも効率よく運営されています。シャオミはこのことからも大いにヒントを得ていたと言えます。
 「見える景色の向こうを見よう」。創業者の雷軍はそのような素質を備えた経営者の一人ではないかと考えます。

 

 

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