供給者側改革 功を奏したか

2016年の改革の最大のテーマは「供給者側改革」だったのではないでしょうか。消費者視点はモノづくりの生産者側が本来持つべき姿勢なのですが、消費者の目が肥え、生産がこれに追い付かないのが現状のようで、そこに生まれたのが「供給者側改革」だったわけです。

供給者側改革が最初に目をつけたのは国有企業の生産過剰の問題で、中でも米中貿易の火種にもなりかねない鉄鋼問題があります。2014年前後からトン当たりの利益が「白菜同然」だった鉄鋼価格は2016年後半に入りやっと持ち直しています。その間、東北特殊鋼など債務問題で更生手続きに入った企業もあり、「倒産」でも辞さない供給者側改革の意志が伝わります。

「2016年の鉄鋼業の削減目標は4500万トン、石炭の削減目標は2億5000万トンで、これを繰り上げて達成した」と国務院傘下、国家発展と改革委員会の徐紹史主任は記者会見で述べ、鉄鋼関係では18万人、石炭関係では62万人がそれにより失業し、昨年末までにその内の88%、70万人の再就職を斡旋したと実績を強調しました。

供給者側改革が功を奏したのか、年を明けて本決算の業績予告を発表する企業が増えている中、資源や製造関係企業に明るい見通しを示す企業が目立ちます。

イータイコール(3948)がその一社です。2011年8月「投資考察団」で内モンゴルに行って同社訪問の際、ちょうど中国経済も高度成長の最中で、石炭も掘れば売れる時代でした。これまでに見たこともないような豪華な会議室まで案内されたことは今も印象に残っています。北京や上海で不動産を買い漁った「石炭成金」も輩出した時期で、同社株価もうなぎ上りの勢いで上がりに上がったのです。しかし2012年をピークに需要が下がり、同社も減収減益が続き、20HKD台だった株価がついに3HKD台まで叩き売られています。

ところが、昨日(24日)、同社は12月31日までの業績見通しを発表し、純利益は前年比210%増の20億元を超える見込みであることを明らかにしました。低迷が続いた同社株は最高で15%高まで買われ、忘れられかけていた同社が再び投資家に注目されるようになっています。

イータイコールの発表と同じ日に、九龍紙業(2689)も中間決算の見通しを公告で発表しました。それによると、12月31日までの中間決算で前年同期比純利益は45%以上に達する見込みであることを明らかにしました。

私は株こそ持っていないけれども、中国石油やイータイコール、九龍紙業など業界大手であると同時に実体経済のバロメーターでもあるこれら企業の株価を常にチェックするようにしています。

これら企業の株価は共に復調傾向にありますが、経済の全面的回復よりも供給側改革が功を奏したのではないかと考えます。またそうした供給者側改革の成功こそ経済の復活に繋がるものと見ていいでしょう。

 

 

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