公共投資 依然活発

通常国会に当たる全人代が昨日(5日)から北京で開かれています。各省や自治区、直轄市から選出された代表(代議士)約3000名が一堂に集まって「政府活動報告」について約10日間議論が行われます。情報公開とSNSの発達で以前ほど統制が聞かなくなるし、議論の内容もますます身近なものになりますので、国民も無関心ではいられなくなります。

開会初日の5日、李克強首相は「政府活動報告」を行い、過去一年の政府の活動を振り返り、今後一年の施政方針について演説しました。

テレビや新聞、報道サイトを見ると、北京放送(中国国際放送)時代、5年連続同大会を取材した時の様子を思い出してしまいます。しかし、携帯電話の長距離通信付加料の廃止や戸籍所在地以外での診療時の医療費直払いなど議論の内容については、今は昔という感が否めないことも率直なところです。

では、中国株の投資家として何に注目し、どのような情報をキャッチすればいいのか、お役に立つだろうと思われるキャッチポイントを整理してみました。

1.       GDP成長率6.5%前後
2016年の目標は6.5%~7%だったのが、達成は6.7%でした。今年の目標は6.5%前後ということで、GDP総額はついに史上最高の80兆元を超えるか内外から注目されています。

2.       CPI  3%前後
消費者物価指数(CPI)は2016年の目標が3%前後だったのですが、実際は2%でした。すでに物価上昇の懸念も出ており、今年は3%以内に抑えることができるかどうか、要注目です。

3.新規雇用1100
2016年の目標は1000万人なのに対して1314万人の新規雇用が創出されました。2017年度の目標を100万人増やして1100万人とされています。国有企業の再編など失業者が多発する中、失業率を4.5%以内に抑えるという目標で、新規雇用の確保が依然課題です。

4.失業者手当1000億
生産過剰やゾンビ企業の事業再編で、180万人の失業者が出ると試算されています。財政予算で失業者手当を工面する予定で、国有企業の再編が一段と進められることが予想されます。

5.国民所得 GDP成長率と同水準
2016年の成長率は6.7%に対して、国民所得は6.3%に留まりました。今年は同水準の成長を目標に掲げています。

6.民間資本に市場開放
①         ネガティブリストを明確にし、法律で参入を禁止する以外の業界や領域に様々な市場主体(主として民間)の参入を容認すること
②        外資に開放する分野は民間資本にも開放すること
③        市場の公平な競争を害するすべてに行為に対して、徹底的に取り締まること

7.M2伸び率 12
2016年のマネーサプライ(M2)の伸び率は13%だったのに対して実績は11.3%でした。無制限な金融緩和を実施しないことをアピールするため、目標を縮小しました。

8.鉄道建設に8000億元
2016年も同じく8000億元の目標なのに対して実行ベースでは8015億元を投入したことになり、今年も同目標で、鉄道関連の投資は衰えを見せていません。このほか、道路、水路整備に1兆8000億、重大な水利工事15プロジェクトも盛り込まれています。

このように今年も引き続き公共投資が行われると同時に、国有企業の改革が推進され、民間の躍進が期待されます。そのような目線で今年の中国経済を見てほしいと考えます。
(建設機械2月の販売台数約300%増の記事ーーNews & topicsを合わせてご参照ください)

<お知らせ>

3月22日からの視察団間もなく締切になります。ご検討中の方は8日(水)までに声をおかけください。お待ちしています。

 

 

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