増量資金よりも世界的マーケットへ

6月には、市場に影響が与えるだろうと思われるイベントが目白押しです。そのいくつか拾っていました。

◇ 米中戦略経済対話が今日から二日間北京で開催。
◇ ドイツのメルケル首相が昨年10月に続き9回目の訪中(今週)
◇ MSCI中国A株をエマージング市場指数に組み入れるかどうかの決定(15日)
◇ ロシアのプーチン大統領が訪中
◇ 米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げに関する声明の発表(16日)
◇ 英ユーロ圏離脱・残留に関する国民投票(23日)、など市場に直接影響を与えるのは、言うまでもありませんが、MSCI指数のA株組み入れに関する決定です。MSCI(Morgan Stanley Capital International)Inc.は世界の指数や金融派生商品の投資ターゲットを提供するグローバル企業で、MSCI指数(MSCIインデックス)は、同社が算出し、公表している株価指数の総称(世界的な株価指数の名称)をいいます。

「徐さんの中国株」で度々これを取り上げている理由には、世界の機関投資家(投資信託やファンド)の約90%以上がグローバル株式投資のベンチマークとして採用している上、年に一度の組み換えでこれまで2度もチャンスを逃したが、今月15日に、再度決定が下されるからです。

MSCIによると、2015年6月まで、世界でMSCIの指数シリーズを業績の参照基準としている資産規模は、10兆米ドルに及び、2016年4月現在、4500億米ドルを超える、750本のETFファンドはMSCI指数に基づき組み立てられていると言います。そのMSCI指数にA株を組み入れられたら、より多くの海外機関投資家の注目を浴びることにほぼ間違いありません。

MSCIは今年4月指数に組み入れられる準備として「模擬A株国際指数」を発表しました。421社の株式がテストとして組み入られているが、その内訳を見てみますと、金融系は36%、工業は18%、一般消費財は10%となっていることが明らかになっています。

A株をMSCIの指数に組み入れるかどうかの評価は2013年に始まったのですが、2014年と2015年の評価では、市場参入のハードルがネックとなって見送られた経緯がありました。当初A株の5%を目標にしていたが、MSCIの日本を除くアジア指数では1.3%、新興市場指数では1.1%、世界指数では0.1%を占める割合となります。この割合で計算されると、A株市場には凡そ220~240億米ドルの(ファンド)資金が流れるものと見られます。

韓国は1992年1月、台湾は1996年9月にそれぞれ20%と50%でMSCI指数に組み入れられたのですが、数年後に100%組み入れられています。220億米ドルの資金は時価総額凡そ8兆米ドルの中国A株市場にとって、わずか0.3%程度で、増量資金よりも国際的マーケットになったことを裏付けられたことの意義がより大きいものと考えられます。

また個人投資家を中心とする投資主体の構成を外資の参入により、投資主体の多様化で市場の安定化も期待されます。金融市場の開放はWTO加盟(2001年)の時からの約束事でした。それから15年経ちますが、いまだほんの一部しか開放されていないのが実情です。

中国経済について予てから「後発優勢」から「後発劣勢」へ、「叩かれて強くなる」と考えています。5月米商務省は中国から輸入の冷延鋼板に500%を超える反ダンピング関税をかけると発表。もはや自主的生産過剰の消化は、一部ゾンビ企業の延命措置になるだけで、抜本的事業の再編が求められています。

6月15日の発表に向けて、問題視された投資資金の枠(限度額)や資金の流出入、受益権、自己都合による取引停止などについて証券委が定例記者会見で改善策を示しています。グローバルなマーケットまであと一歩というところまで来ています。

 

 

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