多角化で構造転換の難局を乗り切る?

華瀚健康(0587)が米系空売り機構のEmerson Analyticsに狙われた理由に一つに、同社の業務がバイオ製薬や漢方薬、病院経営など多岐にわたることが挙げられます。
特にアンチエージング効果があると謳われるパラセンタの薬品化はライセンスや企業倫理などが絡むことで、同社はそれだけの力があるかどうかが疑問視されます。
 
企業の多角化は同社に限ったことではありません。ハムやソーセージのケーシングが中国市場の8割を占める神冠控股(0829)もそのうちの一社です。奇しくもこの神冠控股もまた同じくEmerson Analyticsに粉飾決算の疑惑があるとして2014年9月ネガティブレポートを出されたことがあります。
 
そのレポートは同社株価が3HKD台の時に出され、株価は1.1HKDの価値しかないと指摘されましたが、その後、同社株価は暴落し、創業者の周社長が大掛かりな買戻しを実施したにもかかわらず、1.1HKD台で長らく徘徊しました。 レポートが出され、株価低迷の中でも同社は大掛かりな企業買収を行いました。
 
まず医薬品で、昨年広西チワン族自治区悟州市のGMP認証の製薬会社を買収。そして昨年同業の広東省勝馳の株式51%を取得。
 
化粧品では、昨年7月、広西チワン族自治区南寧市女友化粧品の全株式を取得して化粧品業界に参入。
健康食品では、武漢にある健康食品の福格森生物の株式15%を取得。妊婦や乳幼児、健康維持のための健康食品や栄養補助食品にも参入。
 
神冠控股は2009年10月に上場したものですが、ソーセージの皮を作るのには36年の歴史を誇る会社で、1989年中国で初めてケーシングの製品化に成功し、以来国内市場の80%のシェアを維持してきました。
高い利益率で上場一年後の2010年11月、株価は同社株式史上最高値の11.62HKDまで買われ、新興企業としても期待されていました。
 
ネガティブレポートの加え、今年9月に発表された上半期の業績では、売上高こそ1.1%微減の4億3100万元でしたが、純利益は41.1%減の8900万に急落しました。
 
業績急落の原因について、周社長は、昨年広東勝馳買収のために利益をつぎ込んだこと、新製品の発売でプロモーション費用を計上したこと、競争で製品単価を引き下げたことを挙げるとともに、「ケーシング市場8割のシェアを占める当社にとって、さらなる大きな成長空間が限られている。業界の成長も年間5~6%に過ぎないからだ」と多角化の理由も含めてその見解を示しました。
 
多角化のための買収と言えば、亨泰(0197)も今年、取次業務のライセンスを持つ証券会社を買収したことが記憶に新しいものです。構造転換の難局を多角化によって乗り切ろうとしていることを目論んでいるのでしょうが、果たして結果はどうなるのでしょうか。

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