悪習でもルール優先の香港

中国(香港)株の投資でいやな思いをするのは、買った株が下がったよりも「セント株」に引っかかることです。

セント株とは?香港の通貨、香港ドル以下の単位は「セント」と言い、1香港ドルは100セントになります。株価が1香港ドル未満の株のことを香港では、「セント(仙」株」と言います。業績不振や赤字転落など株価が1香港ドルを割り切るのも致し方のないことですが、しかし、「セント株」にはもう一つの意味合いがあります。「詐欺師株」のことです。

なぜ詐欺師株かと言いますと、カジノでは、人の手の裏を見たり、共謀して人を騙したりする人のことを「老千」と言います。「仙」と「千」は広東語で発音が似ていることから、「セント株」のことを「仙股」または「千股」と言って「詐欺師株」の代名詞として現在に至っています。

「セント株」の特徴としては、大株主(一般的に経営も兼任)の人が、会社の業務に専念せず、ファイナンス・テクノロジー(財テク)を悪用し、(大株主に有利な)割当増資を行ったり、株式を分割または縮小(減資)を繰り返したりすることを通して一般株主の利益を侵害したりすることが上げられます。

関心のある方はセント株の一つとして挙げられている「1166」を調べてみてください。某投資家が8年ほど前、株価が安いからと言って、0.4HKD(40セント)でナンピンも含めて1550万株、時価総額にして600万HKD分まで買い上げましたが、この会社はほぼ2年に一回減資を行い、当時投資した1550万株は現在775株になり、株価は依然として0.4前後ですが、しかし当時の20000株が現在の1株になり、時価総額にして皆様も計算してみてください。

「セント株」がその企業の歴史や経済環境の変化などで最近増えている傾向にあり、投資家の間で、「セント株」だとわかっていながらどうして監督機関が取り締まりをしないんだ、と経済紙や専門サイト経由質問を投げかけています。

これを問題視した、香港証券取引所(HKEX)の李小加総裁は、11日HKEXのポータルサイトで自身のブログ「小加網誌」を更新し、解説を行った。

まず資本市場において「いい人」が多く、「悪い人」を少なくしてほしいと誰でも願っていることでしょうが、では、「いい人」、「悪い人」の判断基準はどこにあるかという問題について、氏は「1000人に聞けば、1000通りの答えがあるかもしれないが、しかし監督機関として規則を守る人はいい人で、守らない人は悪い人だと簡単に答えを出してしまう。この基準以外、自分の好き嫌いや好みなどを加味する余地はない。香港の法的仕組みの中で、悪い人とわかっていても公平公正なプロセスを通して初めて断罪できる。しかしこれには時間がかかるものだ」と香港の法制度に対する理解を求めた。

減資や割当増資などは香港市場では

規則に基づいた行為で違法性はないが、しかし

大株主に有利になるように「運用」ができますので、

一般投資家がこれに引っかかったら

投資の悪夢の開始ということになります。

<勉強会のお知らせ>

次回の中国勉強会は10月6日(木)、

銀座の天厨菜館にて開催。

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