投機筋に市場心理を左右させてはならない その4

     元為替の波及効果 誇張は不公平

周小川中央銀行総裁の話の続きです。

Q 人民元為替レート改革の方向性及びタイムスケジュールは?

A 為替レートの改革は依然として、市場需給を元にしてバスケット通貨を参考にした管理下にあるフロート制を実行することだ。市場の需給関係をまず重視すること。マーケットに短期的投機筋が存在していてもこれを尊重しなければならない。中央銀行にもモデルケースで計算した最善の為替水準があるわけではないからだ。バスケット通貨を参考することは、中国の貿易や投資先地域及びパートナーの多元化によるもので、これまでは米ドルに偏重してきたが、これからはバスケット通貨をより重要視しなければならない。

我々は一貫して効率的市場仮説を100%使用(信用)してはならないと考えている。マーケットにも時々欠陥があって投機筋や短期的情緒(センチメント)及び群集行動に支配されることもある。フロート制も管理が必要なわけだ。我々は為替の「合理的均衡水準の基本的安定」を希望し、そのための努力をしている。合理的均衡水準と基本的安定は相互に作用しているものだ。中国経済は改革、成長、安定という三者のバランスが必要だ。世界経済も危機からは回復しているが、同様に改革、成長、安定という三者のバランスが課題だ。

Q 為替レートの改革はちょうど世界の金融市場が新たな調整の周期に差し掛かる時と重なり、中国金融市場の波及効果について様々な議論があるが

A これまで世界経済における中国のウェイトが高くはなく、世界経済とマーケットに対する波及効果にもあまり慣れていなかったことだが、しかし今見てみると波及効果が出ていることは間違いない。世界の金融市場に不確実性が強く、ハプニングによる市場の変動幅が膨らむ中で、中国の波及効果に対する関心も高くなっている。我々は為替レートの改革を慎重に進め、最も良いタイミングを見計らい、マイナスの波及効果、国際的要素によるダブルマイナス効果を極力減らすように十分注意している。

また国内の株式、債券、為替市場などのセクター間の波及効果も生じている。本質的には、価格のゆがみ、健全性、バブル及び忍耐性の相互作用だと考えられる。我々は2008年のサブプライムローンに起因した。

金融危機から、不動産、サブプライムローン、シャドーバンキングなどの相互波及と衝撃の大きさを勉強できた。中国にもこのような相互波及の土壌がある。したがって改革はいつどこからという舵取りのテクニックが求められる。改革はゆっくりでもいいが、ストップしてはならない。一方、構造転換の罠や改革疲労症にも気を付けなければならない。

2014年の下期からドル高でユーロも円も大幅安となった。しかし人民元(為替)は米ドルにリンクしており、少しは元安になったものの、大幅な元安にはならなかった。これでその他の通貨に対してドルリンクの元が高くなり、元安の圧力が一層強まった。

ここ数年、人民元の為替は安定しており、変動幅は世界的に見ても一番小さく、国内でも国際でも人民元の為替は(切下げをせず)安定すべきだという実情からかけ離れた期待が膨らんだのだ。いま人民元為替レートが少し変動しただけでもその波及効果に対して大きな反響が起きるのだ。

(米ドルに対して)円とユーロの立場から見ると、元の変動幅はずっと小さいもので、ロシア、ブラジル、南アフリカなど新興市場の通貨に至っては比べにもならないしかし人々の考え方には慣性と言うものがあって、(変化に対して)慣れるプロセスが必要だ、したがって中国の波及効果を過度に強調することは不公平感がある。

 

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